情動の聴覚野活動による機械学習分類
情動の形成は脳深部に位置する大脳辺縁系が深く関わっているとされているが,この部位は非侵襲的な計測が困難である.このため,サーモカメラなどを用いた表情による情動の研究など様々な情動に関する研究報告があるが客観性の観点での問題がある.そこで本研究では,大脳辺縁系と五感情報の集まる視床が大脳皮質を介して結合している神経生理学的関連性を利用し,聴覚野活動の変調から情動を評価する.実験では脳磁図(MEG)を用いて,国際情動刺激画像集(IAPS)による複数の情動喚起を行った際の聴性定常応答(ASSR)の計測を行った.IAPSでは情動が定量的に扱われ,覚醒の程度を示す覚醒価(Arousal)と,快,不快を示...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 231_2 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual61.231_2 |
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Summary: | 情動の形成は脳深部に位置する大脳辺縁系が深く関わっているとされているが,この部位は非侵襲的な計測が困難である.このため,サーモカメラなどを用いた表情による情動の研究など様々な情動に関する研究報告があるが客観性の観点での問題がある.そこで本研究では,大脳辺縁系と五感情報の集まる視床が大脳皮質を介して結合している神経生理学的関連性を利用し,聴覚野活動の変調から情動を評価する.実験では脳磁図(MEG)を用いて,国際情動刺激画像集(IAPS)による複数の情動喚起を行った際の聴性定常応答(ASSR)の計測を行った.IAPSでは情動が定量的に扱われ,覚醒の程度を示す覚醒価(Arousal)と,快,不快を示す情動価(Valence)と呼ばれる2つの指標が与えられている.これにより,喚起した情動を高覚醒価・高情動価(HAHV),高覚醒価・低情動価(HALV),低覚醒価・中情動価(LANV)に分類した.本研究の目的は,計測したASSRを使用してこれらの情動を機械学習により分類することである.そこで,特徴量としてASSRの統計量を使用し,機械学習アルゴリズムの一つであるサポートベクターマシンを用いた分類を行った.これにより,高い精度での分類が可能であった.以上より,生理指標である脳磁界応答を用いることで客観性のあるデータから情動を分類できる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual61.231_2 |