計算流体力学にもとづいたファストECMOの提案
背景と目的:重症の呼吸不全に対して用いられる人工肺は多くの人員と高度の技術が必要で、簡便に実施できる装置が望まれている。現在使用されているECMOは中空糸内を空気が通り、周囲を血液が流れる「外部還流型」で、内部還流型は駆動圧が莫大になるため使用されていない。また、ガス輸送は動的な「移流拡散現象」であるが、従来のガス交換理論は静的な拡散場を前提としており、臨床使用されているECMOも静止構造である。動的な仕様で移流の効果を最大化すれば、低圧で簡便な内部還流型ECMOが実現しうると考えられる。方法: 計算機内にECMOモデルを構築した。血流路は、内径4 mm の円管に始まり、4回分岐して16枚のシ...
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          | Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 185_2 | 
|---|---|
| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            公益社団法人 日本生体医工学会
    
        2023
     Japanese Society for Medical and Biological Engineering  | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 1347-443X 1881-4379  | 
| DOI | 10.11239/jsmbe.Annual61.185_2 | 
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| Summary: | 背景と目的:重症の呼吸不全に対して用いられる人工肺は多くの人員と高度の技術が必要で、簡便に実施できる装置が望まれている。現在使用されているECMOは中空糸内を空気が通り、周囲を血液が流れる「外部還流型」で、内部還流型は駆動圧が莫大になるため使用されていない。また、ガス輸送は動的な「移流拡散現象」であるが、従来のガス交換理論は静的な拡散場を前提としており、臨床使用されているECMOも静止構造である。動的な仕様で移流の効果を最大化すれば、低圧で簡便な内部還流型ECMOが実現しうると考えられる。方法: 計算機内にECMOモデルを構築した。血流路は、内径4 mm の円管に始まり、4回分岐して16枚のシート状のガス交換部になり、再び合流する(各シートの内腔サイズ:1.5 x3 x 60 mm, ガス交換部の容積32 ml)全肺血流量の1/4に相当する血液(1. 2L/min, 酸素分圧40Torr)が流入し、同一流量の純酸素が外部を還流するとし、駆動圧と酸素可能を数値計算した(使用ソルバ:AcuSolve、米国アルテア社)。結果:血流量1.2L/min の駆動圧は約10 mmHgだった。モデルが静止した状態では、気流量を増加しても流出血液の酸素分圧は最大64 Torrだったが、周期性の変位(振幅10- 20 mm、周期 2-4 秒)を加えたところ、約10秒間で300Torr 以上になった。結論:実機による検証が必要であるが、シミュレーションで得られた駆動圧と酸素化能が実現すれば、簡便かつ早期のECMO導入によって、肺損傷の増悪を回避できると期待される。 | 
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| ISSN: | 1347-443X 1881-4379  | 
| DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual61.185_2 |