初回実習前の看護学生における模擬患者演習の効果

本研究の目的は,一度も臨地実習を経験していない看護学生を対象に,模擬患者演習を実施し,その効果を明らかにすることである.看護学生は,「看護師役」「介助者役」「見学者」の役割に分かれて模擬患者演習に参加し,演習終了後,調査用紙に回答した.その結果,看護学生が患者に接した経験や観察から獲得される「患者の繊細さに対応する難しさ」「患者に対応しきれていない思い」「患者に伝える力の必要性」「患者の個別性があることの認識」「想定外な患者の反応への気づき」「自分を優先しがちな自己の認識」のカテゴリで示される,患者や看護に関する実践知が獲得されていた.3 つの役割による学習成果の比較を行った結果,ほとんどの学...

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Published inバイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 Vol. 19; no. 2; pp. 67 - 79
Main Authors 青木, 久恵, 三好, 麻紀, 窪田, 惠子, 門司, 真由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメディカル・ファジィ・システム学会 28.12.2017
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ISSN1345-1537
2424-2578
DOI10.24466/jbfsa.19.2_67

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Summary:本研究の目的は,一度も臨地実習を経験していない看護学生を対象に,模擬患者演習を実施し,その効果を明らかにすることである.看護学生は,「看護師役」「介助者役」「見学者」の役割に分かれて模擬患者演習に参加し,演習終了後,調査用紙に回答した.その結果,看護学生が患者に接した経験や観察から獲得される「患者の繊細さに対応する難しさ」「患者に対応しきれていない思い」「患者に伝える力の必要性」「患者の個別性があることの認識」「想定外な患者の反応への気づき」「自分を優先しがちな自己の認識」のカテゴリで示される,患者や看護に関する実践知が獲得されていた.3 つの役割による学習成果の比較を行った結果,ほとんどの学習内容において有意差は認められなかった.このことは模擬患者演習で必ずしも看護師役が最も学べる立場ではないことを示唆している.また,この演習の効果を高めるためには,看護学生が各役割で学んだ知識を共有することが重要であるといえる.
ISSN:1345-1537
2424-2578
DOI:10.24466/jbfsa.19.2_67