血液透析用留置針の流路形状が実血流量に及ぼす影響に関する研究

近年、血液透析用留置針の根元をファネル形状にすることで高流量を確保できるハイフロータイプと呼ばれる留置針が市販されている。これは、ストレートタイプ留置針より多くの脱血量を確保できると言われているが、ファネル形状にすることで、どのくらい多くの脱血量を確保できるのか、また、最適なファネル形状はどのような形状なのかなどについて、理論的及び実験的に明らかにした報告例はあまり見当たらない。そこで本研究では、冠動脈の血管内圧を測定する際に使用されるプレッシャーワイヤを用い、ストレートタイプとハイフロータイプの留置針内部の圧力分布を測定することで、ハイフロータイプ留置針が高流量を確保できる理由について、実験...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 254_2
Main Authors 山内, 忍, 奥, 知子, 佐藤, 敏夫, 本橋, 由香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.254_2

Cover

More Information
Summary:近年、血液透析用留置針の根元をファネル形状にすることで高流量を確保できるハイフロータイプと呼ばれる留置針が市販されている。これは、ストレートタイプ留置針より多くの脱血量を確保できると言われているが、ファネル形状にすることで、どのくらい多くの脱血量を確保できるのか、また、最適なファネル形状はどのような形状なのかなどについて、理論的及び実験的に明らかにした報告例はあまり見当たらない。そこで本研究では、冠動脈の血管内圧を測定する際に使用されるプレッシャーワイヤを用い、ストレートタイプとハイフロータイプの留置針内部の圧力分布を測定することで、ハイフロータイプ留置針が高流量を確保できる理由について、実験的に明らかにすることを試みた。また、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics : CFD)解析を導入し、流路形状の異なる留置針の解析を行った。 留置針内部圧力分布測定の結果、ストレートタイプは針先端から針基部に向けて直線的に吸引圧が大きくなり、針基部の間では吸引圧はほぼ一定であった。一方、ハイフロータイプは、針先端から針基部までの吸引圧の変化が小さく、針基部における吸引圧が針先端へ効率的に伝達されていることが確認できた。両タイプのCFD解析結果から留置針内部圧力値を抽出しグラフ化した結果、解析結果はプレッシャーワイヤでの実測値と同様の圧力波形を示した。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.254_2