配向性を有する組織集積化用パーツを用いた心筋組織構築の基礎検討

現在、再生医工学において心臓組織を構築する研究が盛んに進められているが、実用化までには多くの課題がある。その一つに、心筋組織の配向性の構築があげられる。心筋を含む筋肉組織は細胞の配向性を揃えることで、拍動力が強く維持されることが知られている。当研究室では細胞と生体材料を用いて様々な形状の細胞凝集塊(バイオパーツ)を作製し、これらを集積化することで組織の作製を試みている。本研究では組織の配向性に着目し、バイオパーツそのものに配向性を持たせることを考えた。バイオパーツとして細長い形状の細胞ファイバーおよび、リング形状の細胞リングを選択し、配向性の構築を試みた。細胞ファイバーは中空状のハイドロゲルフ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 192_1
Main Authors 中村, 真人, 竹花, 靖孝, 黒岡, 武俊, 小林, 巧明, 岩永, 進太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.192_1

Cover

More Information
Summary:現在、再生医工学において心臓組織を構築する研究が盛んに進められているが、実用化までには多くの課題がある。その一つに、心筋組織の配向性の構築があげられる。心筋を含む筋肉組織は細胞の配向性を揃えることで、拍動力が強く維持されることが知られている。当研究室では細胞と生体材料を用いて様々な形状の細胞凝集塊(バイオパーツ)を作製し、これらを集積化することで組織の作製を試みている。本研究では組織の配向性に着目し、バイオパーツそのものに配向性を持たせることを考えた。バイオパーツとして細長い形状の細胞ファイバーおよび、リング形状の細胞リングを選択し、配向性の構築を試みた。細胞ファイバーは中空状のハイドロゲルファイバーを鋳型にし、細胞リングはドーナツ型のシリコン製鋳型を用いて、細胞をそれぞれ鋳型内に充填することで調整した。線維芽細胞で作製したバイオパーツはいずれも顕微鏡による観察像から配向性を有していることが示唆された。一方、マウスES細胞で作製したバイオパーツに対して心筋分化誘導を行った結果、細胞リングにおいては一部で拍動する箇所が観察されたが、細胞ファイバーでは鋳型からはみ出た端部において拍動が観察された。今後はバイオパーツの作製法および分化誘導開始時期の検討を行い、並びに、ES細胞由来の心筋バイオパーツの配向性を確認し、これらのバイオパーツを用いた心筋組織作製を試みていく。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.192_1