ヒトの3次元心房モデルに基づく心房細動興奮伝播シミュレーションと拡張現実での可視化

<背景>心房細動(AF)は不整脈の一種であり、わが国だけでも患者数が100万人にも及ぶ有病率の高い疾患である。その複雑なメカニズムについては未解明な部分が多く、アブレーションなど有効な治療には医師の経験則に頼らざるを得ない実態がある。AFメカニズムの解明および効果的な診療支援の方法の開発などが必要である。<目的>3次元心房モデルを用いてAFの典型的な症例を再現し、有力な治療戦略に向けたシミュレーションと拡張現実(AR)での可視化システムを開発する。<方法>MRIデータを元に3次元心房モデルを作成し、心房筋細胞の電気生理学的な微分方程式を組み込み、コンピュータ...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 184_1
Main Authors 橋本, 陸, 稲田, 慎, 大星, 直樹, 岸田, 優作, 高山, 健志, 柴田, 仁太郎, 芦原, 貴司, 原, 良昭, 浦田, 智和, 井尻, 敬, 中沢, 一雄, 信太, 宗也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.184_1

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Summary:<背景>心房細動(AF)は不整脈の一種であり、わが国だけでも患者数が100万人にも及ぶ有病率の高い疾患である。その複雑なメカニズムについては未解明な部分が多く、アブレーションなど有効な治療には医師の経験則に頼らざるを得ない実態がある。AFメカニズムの解明および効果的な診療支援の方法の開発などが必要である。<目的>3次元心房モデルを用いてAFの典型的な症例を再現し、有力な治療戦略に向けたシミュレーションと拡張現実(AR)での可視化システムを開発する。<方法>MRIデータを元に3次元心房モデルを作成し、心房筋細胞の電気生理学的な微分方程式を組み込み、コンピュータシミュレーションを実施した。複雑なAFの興奮伝播ダイナミクスについて、アブレーション術者の視野を想定したスマートグラス上に可視化するシステムを作成した。<結果・考察>現状で発作性AFの再現には至ったが、持続する非発作性AFの再現には至っていない。しかし、心房筋の生理学的特性の変化や不均質性の導入によって、臨床で見られるAF症例に近づけると考える。非発作性AFの症例が再現できれば、効果的なアブレーション手技の開発や不要なアブレーションの回避に繋がることが期待できる。ARによる可視化は、手術中に心房モデルを確認することを想定したものである。まだプロトタイプの段階であるが、アブレーション術者以外にも有効活用を図りたいと考える。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.184_1