原発性虫垂結核の1例

症例は30歳台,女性。右下腹部痛と発熱を主訴に来院した。CTで腫大した虫垂を認め急性虫垂炎と診断された。保存的加療を行うも約3週間後に炎症が再燃し,虫垂切除術を施行した。術中所見は局所の炎症性変化のみで,膿瘍や結核性腹膜炎を示唆する白色結節はみられなかった。術後病理組織学的検査で虫垂に乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫,ラングハンス氏型巨細胞を認め活動性の虫垂結核と診断した。胸部CT,抗酸菌塗抹検査,培養検査,PCR検査,インターフェロン-γ遊離試験による全身検索を追加したが,結核感染を示唆する所見はなく抗結核菌薬の投与は行わなかった。経過良好のため術後10日目退院となった。後日上下部消化管内視鏡...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 799 - 802
Main Authors 橋口, 陽二郎, 稲葉, 由樹, 坂本, 穆彦, 寺井, 恵美, 渡辺, 俊之, 森園, 剛樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.44.799

Cover

More Information
Summary:症例は30歳台,女性。右下腹部痛と発熱を主訴に来院した。CTで腫大した虫垂を認め急性虫垂炎と診断された。保存的加療を行うも約3週間後に炎症が再燃し,虫垂切除術を施行した。術中所見は局所の炎症性変化のみで,膿瘍や結核性腹膜炎を示唆する白色結節はみられなかった。術後病理組織学的検査で虫垂に乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫,ラングハンス氏型巨細胞を認め活動性の虫垂結核と診断した。胸部CT,抗酸菌塗抹検査,培養検査,PCR検査,インターフェロン-γ遊離試験による全身検索を追加したが,結核感染を示唆する所見はなく抗結核菌薬の投与は行わなかった。経過良好のため術後10日目退院となった。後日上下部消化管内視鏡検査が実施されたが結核病変はなく,他臓器に感染病変を伴わないいわゆる原発性虫垂結核と診断した。術後9ヵ月後の現在,とくに異常は認めていない。原発性虫垂結核の本邦報告例は3例しかなく,希少と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.799