ラミブジン短期投与中止後の急性増悪に対してIFN・ラミブジン併用療法が奏功したB型慢性肝炎の1例

症例は33歳, 男性. B型慢性肝炎急性増悪にて当科へ紹介され, 入院となった. AST 230IU/l, ALT 408IU/l, HBe抗原陽性, HBV DNAは8.3LGE/mlと高値であったが, 患者さんの強い希望でラミブジン治療を開始した. また, 肝生検でF2 A1と診断された. ラミブジンを6カ月間投与したが, HBe抗原およびHBV DNA (TMA法) は持続陽性で, 投与を継続するとYMDD変異株が出現する可能性が高いと考えられた. そこで, 肝炎再燃時に再度抗ウイルス療法を行うこととしてラミブジン投与を意図的に中止した. 中止後すぐにHBV DNA量は増加し, ALT値...

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Published in肝臓 Vol. 43; no. 7; pp. 322 - 326
Main Authors 小西, 奎子, 稲垣, 豊, 代田, 博幸, 柿木, 嘉平太, 森本, 日出雄, 足立, 浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2002
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.43.322

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Summary:症例は33歳, 男性. B型慢性肝炎急性増悪にて当科へ紹介され, 入院となった. AST 230IU/l, ALT 408IU/l, HBe抗原陽性, HBV DNAは8.3LGE/mlと高値であったが, 患者さんの強い希望でラミブジン治療を開始した. また, 肝生検でF2 A1と診断された. ラミブジンを6カ月間投与したが, HBe抗原およびHBV DNA (TMA法) は持続陽性で, 投与を継続するとYMDD変異株が出現する可能性が高いと考えられた. そこで, 肝炎再燃時に再度抗ウイルス療法を行うこととしてラミブジン投与を意図的に中止した. 中止後すぐにHBV DNA量は増加し, ALT値は4週目より上昇し始めた. ALT値が1000IU/lを超えたところでIFNにラミブジンを短期間併用して加療したところ, ALT値が1555IU/lまで上昇したがその後低下し, 血中HBV DNAは3週目にTMA法で陰性化し, 5週目にはHBe抗原からHBe抗体に seroconversion を認めた. 本例は, B型慢性肝炎の急性増悪の機序や治療戦略を考える上で興味ある症例と考え報告した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.43.322