化学療法後に急速に進展し, 腹腔内破裂を来した若年性混合型肝癌の1例

症例は38歳男性. 以前よりHBs抗原, HCV抗体陽性肝硬変と診断されていた. 1999年3月に他院にて肝細胞癌と診断され, 経皮的エタノール注入療法を施行された. 2000年6月, 肝右葉に新たに腫瘍の出現を認め当科紹介入院. 各種画像診断所見およびAFP, PIVKA-IIの上昇より肝細胞癌と診断した. 肺転移, 門脈腫瘍塞栓を認めたためシスプラチン単剤による肝動注化学療法を施行した. 腫瘍縮小率60%で効果判定PRであった. 2001年1月, 腫瘍増大を認め再び化学療法を施行したが無効であった. 腫瘍マーカーではAFP, PIVKA-IIに変化はないもののCA 19-9が上昇していた....

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Published in肝臓 Vol. 44; no. 9; pp. 471 - 477
Main Authors 水腰, 英四郎, 鷹取, 元, 加賀谷, 尚史, 辻, 宏和, 中本, 安成, 鍛治, 恭介, 本多, 政夫, 金子, 周一, 山下, 竜也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2003
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.44.471

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Summary:症例は38歳男性. 以前よりHBs抗原, HCV抗体陽性肝硬変と診断されていた. 1999年3月に他院にて肝細胞癌と診断され, 経皮的エタノール注入療法を施行された. 2000年6月, 肝右葉に新たに腫瘍の出現を認め当科紹介入院. 各種画像診断所見およびAFP, PIVKA-IIの上昇より肝細胞癌と診断した. 肺転移, 門脈腫瘍塞栓を認めたためシスプラチン単剤による肝動注化学療法を施行した. 腫瘍縮小率60%で効果判定PRであった. 2001年1月, 腫瘍増大を認め再び化学療法を施行したが無効であった. 腫瘍マーカーではAFP, PIVKA-IIに変化はないもののCA 19-9が上昇していた. 5月, 肝癌の腹腔内破裂を機に死亡した. 剖検所見では腫瘍は12×8cm大で, 単一の腫瘍内に腺癌, 肝細胞癌が存在する混合型肝癌であった. 化学療法後に腫瘍の性状が変化し, 混合型肝癌として急速に増大し腹腔内破裂を起こしたと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.44.471