胸腺癌におけるPPARγ 発現と予後の関係

胸腺癌は稀な疾患であり,外科的切除の可否が大きく予後に影響する.分子標的薬治療において数種の分子標的薬関連蛋白は他臓器同様に胸腺癌においても効果が実証されている.しかし,Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ (PPARγ) は胸腺癌に対して未だ有効性が証明されていない.今回,胸腺癌群8 例,胸腺腫群(Type B3) 8 例の症例でPPARγ に対するモノクローナル抗体を使用し免疫組織化学染色を行い,発現率,発現陽性率,胸腺癌群における発現陽性群と陰性群間での生存率を算出し,これらの発現が (1) 診断因子,(2) 予後因子,(3) 治療選択...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日大医学雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 293 - 298
Main Authors 日暮, 亮太, 諸岡, 宏明, 村松, 高, 四万村, 三恵, 竹下, 伸二, 石本, 真一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.12.2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.75.6_293

Cover

More Information
Summary:胸腺癌は稀な疾患であり,外科的切除の可否が大きく予後に影響する.分子標的薬治療において数種の分子標的薬関連蛋白は他臓器同様に胸腺癌においても効果が実証されている.しかし,Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ (PPARγ) は胸腺癌に対して未だ有効性が証明されていない.今回,胸腺癌群8 例,胸腺腫群(Type B3) 8 例の症例でPPARγ に対するモノクローナル抗体を使用し免疫組織化学染色を行い,発現率,発現陽性率,胸腺癌群における発現陽性群と陰性群間での生存率を算出し,これらの発現が (1) 診断因子,(2) 予後因子,(3) 治療選択因子となりうるかを検討した.結果:PPARγ は胸腺癌群で発現率,発現陽性率が有意に高率であり,胸腺癌における陽性群で生存率の有意な延長を認めた.PPARγ の高発現が診断因子,予後因子,治療選択因子となりうる可能性が示唆された.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.75.6_293