スキルアップ―頭頸部がん診療 司会のことば
がん診療は日進月歩で絶えず変貌しつつある. 頭頸部がん診療の進歩も同様で, ガイドラインに則った標準的な診療がすぐに過去のものになってしまうのが現状である. そのため, 本疾患の診療に携わるものにとって, 常に頭頸部がんの最先端の研究成果を吸収して, 技術のみでなく知識もスキルアップした診療を行うことが求められている. もちろん, 普段頭頸部がん診療に直接携わらない先生方においても, 頭頸部がんにおける最新知識は日常診療を充実させていく上で大切な糧となるはずである. 本コースでは, 頭頸部がん診療のエキスパートの4名の先生に, 頭頸部がん診療の最新の知識を提供していただく. 吉野邦俊先生(大阪...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 9; p. 1059 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.09.2013
日本耳鼻咽喉科学会 |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.116.1059 |
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Summary: | がん診療は日進月歩で絶えず変貌しつつある. 頭頸部がん診療の進歩も同様で, ガイドラインに則った標準的な診療がすぐに過去のものになってしまうのが現状である. そのため, 本疾患の診療に携わるものにとって, 常に頭頸部がんの最先端の研究成果を吸収して, 技術のみでなく知識もスキルアップした診療を行うことが求められている. もちろん, 普段頭頸部がん診療に直接携わらない先生方においても, 頭頸部がんにおける最新知識は日常診療を充実させていく上で大切な糧となるはずである. 本コースでは, 頭頸部がん診療のエキスパートの4名の先生に, 頭頸部がん診療の最新の知識を提供していただく. 吉野邦俊先生(大阪府立成人病センター)には, たばこ, 酒を中心とした頭頸部がんにおける発がん因子について, 国際がん研究機関(IART)をはじめとするがん予防に関する最近の情報をもとに解説していただく. あらためてがん予防の重要性を認識していただきたい. 猪原秀典先生(大阪大学)には, ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)と中咽頭がんとの関係について最新知識を紹介していただく. 本年7月にカナダ・トロントで開催された第8回頭頸部がん国際カンファレンスにおいて最も注目されたトピックスの一つで, 中咽頭がんの概念・治療方針が大きく変わろうとしている. 渡邉昭仁先生(恵佑会札幌病院)には, NBI電子スコープを用いた頭頸部早期がん発見のコツについて述べてもらう. NBI電子スコープは消化器科, 内視鏡科の分野を中心に発展してきた早期がん発見のための新しい診療機器で, 耳鼻咽喉科への導入はやや遅れている. そのため, 耳鼻咽喉科で見過ごされた早期の頭頸部がんが他科で発見されることがしばしば生じている. ぜひ, 本機器による早期がん発見のコツを習得し, 発見率の上昇に努めていただきたい. 最後に, 早渕尚文先生(久留米大学放射線科)には画像診断, 放射線治療の最近の急速な進歩について紹介していただく. これらの進歩には目を見張るものが多く, 近未来の展望と併せて興味あるお話を聞かせていただくことができると思う. さらに我々の科とも共通する, がん診療におけるマンパワー不足の問題についても触れていただく予定である. 本講習会実行委員会の方々のご努力で魅力あるテーマと優れた講師が選ばれており, 実り多いコースとなることが期待できる. ぜひ多くの先生方にご参加いただきたい. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.116.1059 |