顎矯正手術を対象としたVR骨片固定シミュレータの開発

顎矯正手術において,最も施術数の多い術式は,下顎枝矢状分割術である.本手術は,下顎骨を矢状方向に矢状断分割し予定の咬合に合わせて骨片間の固定を行う手術で,術前に骨片の分割および固定位置を検討する.近年では,グラフィックコンピュータ上で,マウス操作による骨片移動が可能な商用システムが開発されている他,VRデバイスを用いた直感的な操作が可能なシステムも報告されている.しかし,骨片分割後の骨片移動時に,骨片間の干渉を直感的に把握できない問題点が指摘されている.そこで,本研究では,骨片間干渉を力覚提示で使用者に伝え,より適切な骨片固定が可能な手術シミュレータの開発を目的とする.位置姿勢入力および力覚提...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 237_2
Main Authors 諸井, 明徳, 伊藤, 安海, 黒田, 嘉宏, 吉元, 俊輔, 大城, 理, 鍵山, 義之, 野田, 善之, 竹内, 則雄, 廣瀬, 優斗, 上木, 耕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.237_2

Cover

More Information
Summary:顎矯正手術において,最も施術数の多い術式は,下顎枝矢状分割術である.本手術は,下顎骨を矢状方向に矢状断分割し予定の咬合に合わせて骨片間の固定を行う手術で,術前に骨片の分割および固定位置を検討する.近年では,グラフィックコンピュータ上で,マウス操作による骨片移動が可能な商用システムが開発されている他,VRデバイスを用いた直感的な操作が可能なシステムも報告されている.しかし,骨片分割後の骨片移動時に,骨片間の干渉を直感的に把握できない問題点が指摘されている.そこで,本研究では,骨片間干渉を力覚提示で使用者に伝え,より適切な骨片固定が可能な手術シミュレータの開発を目的とする.位置姿勢入力および力覚提示デバイスには,ハプティックデバイスを使用し,可視化出力には,ヘッドマウントディスプレイを使用する.骨片間干渉の判定は,3分割された骨片間全てで行い,骨片モデルのめり込みが生じないよう,力覚生成による操作支援を行う.評価実験では,ハプティックデバイスにGeomagicTouchを,ヘッドマウントディスプレイにはOculusQuest2を使用し,患者1名のデータに適用した.その結果,リアルタイムの骨片移動操作時に,提案手法による力覚生成により骨片モデルのめり込みを防げる等,その有効性を確かめることができた.今後は,骨片の固定位置検討時に,骨片間や顎関節の接触力のバランスを考慮できるようにし,より最適な術前計画を立案できるようにする.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.237_2