呼吸数計測にドップラーレーダとステレオ測距カメラを併用した小児肺炎スクリーニングシステムの開発とモンゴルにおける臨床応用

12月の平均気温がマイナス30℃にせまるモンゴルでは,石炭による暖房に起因する都市部の大気汚染が著しく,肺炎が5歳未満の小児の死亡原因の第2位となっている.本研究グループでは, 全身性炎症反応症候群(SIRS)の診断項目である心拍数,呼吸数等を非接触で計測して感染の有無を判定するシステムの開発を行ってきた(Matsui.et.al.,J Infect.2020, IF=38.6).新たに開発した小児肺炎スクリーニングシステムを用いてウランバートルのSonginokhairkhan地区中央病院において,小児肺炎患者42名(3.9±3.6歳)を対象として,2023年12月に臨床研究を行った. SI...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 191_2
Main Authors 菊地, 真央, 金, 石振, 佐藤, 正平, 孫, 光鎬, 深澤, 竜助, 金澤, 建, 松井, 岳巳, 阿部, 祥英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.191_2

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Summary:12月の平均気温がマイナス30℃にせまるモンゴルでは,石炭による暖房に起因する都市部の大気汚染が著しく,肺炎が5歳未満の小児の死亡原因の第2位となっている.本研究グループでは, 全身性炎症反応症候群(SIRS)の診断項目である心拍数,呼吸数等を非接触で計測して感染の有無を判定するシステムの開発を行ってきた(Matsui.et.al.,J Infect.2020, IF=38.6).新たに開発した小児肺炎スクリーニングシステムを用いてウランバートルのSonginokhairkhan地区中央病院において,小児肺炎患者42名(3.9±3.6歳)を対象として,2023年12月に臨床研究を行った. SIRSの診断項目(心拍数,体温,呼吸数)のうち心拍数はRGBカメラで求めた心拍に伴う顔の輝度変化より求めた.体温は,当研究グループで開発した手法(Asai et.al., Therm. Sci. Eng. Prog. 2023)を用いて,サーモグラフィーで計測した前額温度から前頭前野の深部体温を求めた.呼吸数は,寒冷地での測定を想定し,マイクロ波の透過性により厚着の影響を受けにくいドップラーレーダと呼吸運動以外の体動を除去するためのステレオ測距カメラを組み合わせたアルゴリズムを用いた. 肺炎患者において呼吸数は,医療従事者の目視計測との相関係数0.82,平均誤差率13%であった.Control群を昭和大学江東豊洲病院・小児内科の非肺炎患者11名(10±4.0歳)とBayangol地区第88幼稚園の健常小児42名(5.0±0.2歳)とし, ロジスティック判別分析等を用いて,提案システムのスクリーニング精度を検証した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.191_2