肘関節鏡手術トレーニングシステムの開発

本邦で開発された関節鏡手術は世界中に広がり整形外科の標準的治療となっているが、特に肘関節鏡においては重大な神経損傷の合併症の報告を認める。肘関節鏡手術は手術野を直接観察することは出来ず、関節鏡に映し出された映像を元に手術操作を行うゆえに、手術技能の習熟までに時間を要し、術者の育成が重要な課題である。経験の浅い術者の技能習得のための肘関節鏡手術トレーニングシステムを考えた。肘関節CT、MRI画像を理化学研究所で開発された新規情報処理システム(V-CAT)を用いて前処理、座標合わせ、セグメンテーションを行うことで、肘関節周囲の骨、神経、皮膚から成る3D画像がstl dataとして抽出される。このd...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 158_1
Main Authors 横田, 秀夫, 大山, 慎太郎, 平田, 仁, 山本, 美智郎, 岩瀬, 紘章, 村上, 幸己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.158_1

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Summary:本邦で開発された関節鏡手術は世界中に広がり整形外科の標準的治療となっているが、特に肘関節鏡においては重大な神経損傷の合併症の報告を認める。肘関節鏡手術は手術野を直接観察することは出来ず、関節鏡に映し出された映像を元に手術操作を行うゆえに、手術技能の習熟までに時間を要し、術者の育成が重要な課題である。経験の浅い術者の技能習得のための肘関節鏡手術トレーニングシステムを考えた。肘関節CT、MRI画像を理化学研究所で開発された新規情報処理システム(V-CAT)を用いて前処理、座標合わせ、セグメンテーションを行うことで、肘関節周囲の骨、神経、皮膚から成る3D画像がstl dataとして抽出される。このdataを元に、光造形3Dプリンタを用いて実物大の肘関節の模型を作成した。stl dataと造形物の実測値の誤差は平均0.078mmであった。肘関節鏡手術でよく施行される関節内遊離体摘出術を想定し、遊離体を肘関節模型内に設置した。肘関節鏡下手術の症例数が5件以上かつ経験年数が2年以上の医師を熟練医師、肘関節鏡下手術の症例数が1件以下の医師を非熟練医師、手術の経験がない被験者を未経験者とし、それぞれの群で遊離体摘出にかかる手術時間や検出されるdataについて比較検討を行なった。複数の肘関節モデルを作成し、トレーニングを行うことで、経験の浅い術者の技能上昇につながる可能性がある。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.158_1