リサイクルしやすいクルマの開発は進んでいるのだろうか? 自動車の「リサイクル設計」に関する一考察

本稿では,自動車リサイクル法による新しいシステムが,リサイクルしやすい車の開発を促すということが,理論的にいえるのか否かという問題意識の下,「ASR料金」と「リサイクル設計」との関係を調査し,メーカーのいう「リサイクル設計」とは具体的に何を意味し,その取り組みが「ASR料金」の低減につながりうるのかという考察を行った。 結論は,現段階においてメーカー等によるリサイクルしやすい車の開発が単純にASR料金の低下につながるとは考えられない。その主な理由として,新しいシステムでは「自動車メーカーは静脈部門を中途半端にしか制御できない」こともあり,リサイクル設計のなかでも特に「リユース設計」が,解体の現...

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Published in廃棄物学会論文誌 Vol. 19; no. 2; pp. 155 - 159
Main Authors 木村, 眞実, 外川, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 廃棄物資源循環学会 2008
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ISSN1883-1648
1883-163X
DOI10.3985/jswme.19.155

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Summary:本稿では,自動車リサイクル法による新しいシステムが,リサイクルしやすい車の開発を促すということが,理論的にいえるのか否かという問題意識の下,「ASR料金」と「リサイクル設計」との関係を調査し,メーカーのいう「リサイクル設計」とは具体的に何を意味し,その取り組みが「ASR料金」の低減につながりうるのかという考察を行った。 結論は,現段階においてメーカー等によるリサイクルしやすい車の開発が単純にASR料金の低下につながるとは考えられない。その主な理由として,新しいシステムでは「自動車メーカーは静脈部門を中途半端にしか制御できない」こともあり,リサイクル設計のなかでも特に「リユース設計」が,解体の現場で必ずしも反映されないことが考えられる。なお,「リサイクル設計」を実際のリサイクルの現場で活かすためには「リサイクル市場の確保・創造」という要素が重要であることを強調した。
ISSN:1883-1648
1883-163X
DOI:10.3985/jswme.19.155