本邦の在宅血液透析の現状と遠隔管理システムへの期待
在宅血液透析(home hemodialysis:HHD)は患者と介助者が十分な教育訓練を受けて医療施設ではない患者居宅で行う血液透析治療である。患者にとって自由度が高く社会復帰に有利であり、合併症・予後管理も良好である一方、本邦では827人(2022年末)と少なく全透析患者の0.2%にすぎない。HHD患者が増えない種々の要因の一つに医療者不在の環境下での透析管理やトラブルの対応など施設透析には無い、患者・介助者の負担がある。既に一部で運用されている居宅と医療施設をICTで繋ぎビデオ通信を介して患者や機器の状態を確認するシステムなどHHDの遠隔管理は患者の安全・安心に大きな役割を果たす。患者へ...
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| Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 88_2 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
| DOI | 10.11239/jsmbe.Annual62.88_2 |
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| Summary: | 在宅血液透析(home hemodialysis:HHD)は患者と介助者が十分な教育訓練を受けて医療施設ではない患者居宅で行う血液透析治療である。患者にとって自由度が高く社会復帰に有利であり、合併症・予後管理も良好である一方、本邦では827人(2022年末)と少なく全透析患者の0.2%にすぎない。HHD患者が増えない種々の要因の一つに医療者不在の環境下での透析管理やトラブルの対応など施設透析には無い、患者・介助者の負担がある。既に一部で運用されている居宅と医療施設をICTで繋ぎビデオ通信を介して患者や機器の状態を確認するシステムなどHHDの遠隔管理は患者の安全・安心に大きな役割を果たす。患者への直接的な負担を少なく経時的にバイタルサインを検出し、その変動から血圧低下などの出現を予測するアルゴリズムの構築を図り、患者病態の変化を予知し、警報発出と透析治療の中止、医療施設への通報など危険を回避する新しいシステムの開発が望まれる。このシステムは患者・介助者の負担を軽減し、オーバーナイトHHDをはじめとする長時間透析や連日施行する頻回透析など効率も良く個々の患者生活に合致した多様な透析スケジュールの遠隔管理の一方法としてHHDの普及に役立つ。さらには患者のニーズは想定されるものの現在本邦では施行できない介助者不在の「solo-HHD」の承認など今後のHHDの可能性にも貢献しうるものと考える。 |
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| ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
| DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual62.88_2 |