全国の看護系大学看護学教員を対象としたポートフォリオの理解、認識、使用状況に関する実態調査

本研究の目的は、全国の看護系大学に勤務する看護学教員のポートフォリオに関する理解、認識、使用状況の実態を明らかにすることである。方法は、全国の看護系大学の看護学教員を対象とした無記名のWeb調査(横断研究)とし、分析にはSPSSを用いて、記述統計量の算出、Mann-WhitneyU検定を行った。有意水準は5%とした。  看護系大学61校の看護学教員1,673人に調査を依頼した結果、236人の回答が得られ(回答率14.1%)、233人を分析対象とした。ポートフォリオという名称は、約99%が聞いたことがあるが、ポートフォリオの理解には個人差があり、2020年度の担当科目への導入率は約35%であった...

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Published in医療看護研究 Vol. 19; no. 2; pp. 22 - 32
Main Authors 野崎, 真奈美, 松尾, 絵美子, 永野, 光子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 順天堂大学医療看護学部 2023
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ISSN1349-8630
2758-5123
DOI10.60254/jhcn.19.2_22

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Summary:本研究の目的は、全国の看護系大学に勤務する看護学教員のポートフォリオに関する理解、認識、使用状況の実態を明らかにすることである。方法は、全国の看護系大学の看護学教員を対象とした無記名のWeb調査(横断研究)とし、分析にはSPSSを用いて、記述統計量の算出、Mann-WhitneyU検定を行った。有意水準は5%とした。  看護系大学61校の看護学教員1,673人に調査を依頼した結果、236人の回答が得られ(回答率14.1%)、233人を分析対象とした。ポートフォリオという名称は、約99%が聞いたことがあるが、ポートフォリオの理解には個人差があり、2020年度の担当科目への導入率は約35%であった。半数が組織からの推奨で導入し、書籍や学内の研修会から知識を習得後、一定の知識に基づき指導を実施していることがうかがえた。しかし、領域を超えたポートフォリオの連動は限定的で、科目の成績評価にポートフォリオが活用されていない現状が明らかとなった。  質を保証したポートフォリオの普及、有効活用のためには、関与する全ての人の共通認識、導入や使用が動機づけられる機会やサポートの提供、看護学に適用できる様式の工夫、自己調整学習能力を育成するための関わり、学務情報システム・学習管理システム(LMS)との一括管理によるデジタルトランスフォーメーション(DX)を進展させた有機的なeポートフォリオへの転換の必要性が示唆された。
ISSN:1349-8630
2758-5123
DOI:10.60254/jhcn.19.2_22