低温環境における輸液の温度低下防止策の検討~輸液回路の加温の効果

【背景】冬季の北海道内にて、屋外の救急現場で外傷患者に輸液を行い、輸液が輸液回路内で凍結する経験をした。先行研究にて、低温環境では輸液の温度が屋外気温近くまで低下することを明らかにした。外傷患者の予後不良の原因となる低体温が34℃以下であるため、輸液の温度を34℃以上に維持するための温度低下防止策の検討が必要であると考えられた。これまで輸液回路の保温等を試みたが、十分な効果が得られなかった。本研究では輸液回路の加温の効果について検討した。【方法】長さ200cmの輸液チューブを100cmのエックステンションチューブで延長した輸液回路を使用した。輸液回路の加温には、チューブカバーヒータを使用した。...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 84_1
Main Authors 菅原, 俊継, 大西, 新介, 堀田, 蛍, 清水, 久恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual60.84_1

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Summary:【背景】冬季の北海道内にて、屋外の救急現場で外傷患者に輸液を行い、輸液が輸液回路内で凍結する経験をした。先行研究にて、低温環境では輸液の温度が屋外気温近くまで低下することを明らかにした。外傷患者の予後不良の原因となる低体温が34℃以下であるため、輸液の温度を34℃以上に維持するための温度低下防止策の検討が必要であると考えられた。これまで輸液回路の保温等を試みたが、十分な効果が得られなかった。本研究では輸液回路の加温の効果について検討した。【方法】長さ200cmの輸液チューブを100cmのエックステンションチューブで延長した輸液回路を使用した。輸液回路の加温には、チューブカバーヒータを使用した。加温箇所と加温温度は予備実験にておおよその見当をつけた回路末端側100cm、50℃前後とした。温度測定には熱電対(温度センサ)を用い、回路末端の輸液の温度を測定した。輸液は10分間行い、輸液開始直後の0分から1分毎に温度を測定した。【結果・考察】加温温度50℃では、輸液の温度が最高で33.6℃までしか加温されなかった。加温温度55℃では、輸液の温度は輸液開始直後(0分)で31.7℃、4分経過時で40.0℃(最高温度)、10分後に33.1℃であった。2分~8分で目標温度の34℃以上を維持する結果であった。加温温度60℃では最高温度が42℃を超えたため、適切な温度ではないと考えられた。【まとめ】回路末端側100cmを55℃で加温することは、輸液の温度低下防止に効果がある。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.84_1