尿サンプル由来イヌ移行上皮癌オルガノイド培養法を用いた抗がん剤感受性検査の開発

イヌの移行上皮癌は、内科的治療として抗がん剤が選択されることの多い悪性腫瘍であるが、抗がん剤に対する感受性に個体差があるため、投与前の感受性を評価するツールの開発が求められている。本研究では、我々が最近開発した尿サンプル由来のイヌ移行上皮癌三次元オルガノイド培養モデルを用いて、各薬剤の感受性と実際の罹患イヌにおける治療反応性の違いを比較解析することで、抗がん剤感受性検査ツールとしての有用性を検証した。本研究において、ビンブラスチン処置は最も安定してオルガノイドの細胞生存率を低下させたが、ミトキサントロンあるいはカルボプラチン処置では抵抗性を示す個体が複数認められた。さらに、オルガノイドで感受性...

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Published in日本獣医腎泌尿器学会誌 Vol. 14; no. 1; pp. 4 - 11
Main Author 佐藤, よもぎ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本獣医腎泌尿器学会 31.03.2023
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ISSN1883-2652
2434-0146
DOI10.24678/javnu.14.1_4

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Summary:イヌの移行上皮癌は、内科的治療として抗がん剤が選択されることの多い悪性腫瘍であるが、抗がん剤に対する感受性に個体差があるため、投与前の感受性を評価するツールの開発が求められている。本研究では、我々が最近開発した尿サンプル由来のイヌ移行上皮癌三次元オルガノイド培養モデルを用いて、各薬剤の感受性と実際の罹患イヌにおける治療反応性の違いを比較解析することで、抗がん剤感受性検査ツールとしての有用性を検証した。本研究において、ビンブラスチン処置は最も安定してオルガノイドの細胞生存率を低下させたが、ミトキサントロンあるいはカルボプラチン処置では抵抗性を示す個体が複数認められた。さらに、オルガノイドで感受性が良好であった罹患イヌに薬剤を長期投与したところ、顕著な腫瘤退縮効果が複数例観察された。以上の結果から、尿由来の移行上皮癌オルガノイドが投薬前の抗がん剤感受性評価に応用可能であることが示された。
ISSN:1883-2652
2434-0146
DOI:10.24678/javnu.14.1_4