看護理工学的思考によるリアルワールドデータの活用

看護理工学は、臨床をつぶさに観察しニーズを見極めることから始まり、メカニズムの探索、客観的計測方法の開発、介入機器・システムの開発、臨床での評価、人材育成、そして次のニーズの明確化までつなげる円環的研究プロセスである。「無いなら創る、そして広める」をスローガンにした新しい融合的研究フレームワークといえる。演者は褥瘡をはじめとする難治性創傷の研究に従事しており、特に褥瘡発生を予測するための様々な手法を考案してきた。医療現場では常に記録やセンサデータが発生し続けており、ここには患者の状態を知るための情報が豊富に含まれている。日常臨床ではこの情報を医療者が読み取り、目の前の患者のために役立てる。一方...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 94_1
Main Author 仲上, 豪二朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.94_1

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Summary:看護理工学は、臨床をつぶさに観察しニーズを見極めることから始まり、メカニズムの探索、客観的計測方法の開発、介入機器・システムの開発、臨床での評価、人材育成、そして次のニーズの明確化までつなげる円環的研究プロセスである。「無いなら創る、そして広める」をスローガンにした新しい融合的研究フレームワークといえる。演者は褥瘡をはじめとする難治性創傷の研究に従事しており、特に褥瘡発生を予測するための様々な手法を考案してきた。医療現場では常に記録やセンサデータが発生し続けており、ここには患者の状態を知るための情報が豊富に含まれている。日常臨床ではこの情報を医療者が読み取り、目の前の患者のために役立てる。一方で、この大量・多様な情報がすべての患者について、365日発生し続けており、それはリアルワールド(RWD)となる。しかしながら、看護学においてこのRWDを活用し、新しい看護ケアを生み出す試みはまだ限定的である。臨床の文脈、情報システムの運用、診療報酬制度を十分理解した上でRWDを活用するスキルを持った人材が不足しているからであろう。しかし、これらすべてに精通した人材を待つのではなく、それぞれの得意分野を生かして、チームでRWDを活用することがよりよい看護実践の創出に必要である。本講演では、看護学の若手研究者が実施したRWDのAI解析による褥瘡発生予測研究(PMID: 33975074)のプロセスを共有し、看護実践における情報医工学の可能性について述べる。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.94_1