南半球産ミンククジラ Balaenoptera acutorostrata の歯芽発生とその生理的退行およびヒゲ板の発生

本論文は, 異なった成長期の24例の南半球産ミンククジラ Balaenoptera acutorostrata の胎仔における歯芽発生とその生理的退行およびヒゲ板の発生を肉眼解剖学的および組織学的に観察したものである. その結果, この種の歯芽の初期発生パターンが陸生哺乳類の乳歯の発生および生理的退行と類似している事が示された. 退行中の歯芽は胎長615mm以上の個体で確認され, 退行現象は歯芽の表面全域で進行しているようであった. このことは, 陸生哺乳類の乳歯の退行が歯根部に限局されている点と異なっていた. 次いで歯芽の発生数は, 胎長135-153 mmの胎仔において下顎より上顎で数多く...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 57; no. 4; pp. 665 - 670
Main Authors 石川, 創, 尼崎, 肇
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1995
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ISSN0916-7250
1347-7439
DOI10.1292/jvms.57.665

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Summary:本論文は, 異なった成長期の24例の南半球産ミンククジラ Balaenoptera acutorostrata の胎仔における歯芽発生とその生理的退行およびヒゲ板の発生を肉眼解剖学的および組織学的に観察したものである. その結果, この種の歯芽の初期発生パターンが陸生哺乳類の乳歯の発生および生理的退行と類似している事が示された. 退行中の歯芽は胎長615mm以上の個体で確認され, 退行現象は歯芽の表面全域で進行しているようであった. このことは, 陸生哺乳類の乳歯の退行が歯根部に限局されている点と異なっていた. 次いで歯芽の発生数は, 胎長135-153 mmの胎仔において下顎より上顎で数多く確認された. また, 本研究では歯芽の発生数はばらついていた. 退行中の歯芽と共にピケ板の原基が船長903mmの個体で検出され, 歯芽の退行がヒゲ板の原基の発生を誘導していることが示唆された.
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.57.665