融解層を伴った層状性降水の微物理過程の富士山における観測

融解層を伴った層状性降水の微物理過程を調べるために,富士山に高度の異なる三つの観測点を設け,ろ紙法により,降水粒子の粒径分布を測定した。 各観測点における粒径分布の時間変化から,層状性降水の微物理過程に関して,次のような結論が得られた。 i)融解層の上部では,融解直径0.1cm以下の小さな雪片が,体積的•数的に卓越していた。 ii)融解層の中央部では,雪片の融解とともに,併合による成長が起こっていると考えられ,0.2cm以上の大きな粒子が多く見られた。 iii)融解層の下部および直下では融解が完了していた。大きな粒子は,分裂のために減少していたと考えられ,中間の大きさの雨滴(0.1~0.2cm...

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Published in気象集誌. 第2輯 Vol. 63; no. 1; pp. 100 - 111
Main Authors 横山, 辰夫, 小野, 晃, 大谷, 健, 山中, 大学, 石坂, 隆, 赤枝, 健治, 田中, 浩, 吉澤, 宣之, 三田, 昭吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本気象学会 1985
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ISSN0026-1165
2186-9057
DOI10.2151/jmsj1965.63.1_100

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Summary:融解層を伴った層状性降水の微物理過程を調べるために,富士山に高度の異なる三つの観測点を設け,ろ紙法により,降水粒子の粒径分布を測定した。 各観測点における粒径分布の時間変化から,層状性降水の微物理過程に関して,次のような結論が得られた。 i)融解層の上部では,融解直径0.1cm以下の小さな雪片が,体積的•数的に卓越していた。 ii)融解層の中央部では,雪片の融解とともに,併合による成長が起こっていると考えられ,0.2cm以上の大きな粒子が多く見られた。 iii)融解層の下部および直下では融解が完了していた。大きな粒子は,分裂のために減少していたと考えられ,中間の大きさの雨滴(0.1~0.2cm)が卓越していた。 iv)融解層より下の領域では,雨滴の粒径分布には,高度方向に大きな変化は見られなかった。
ISSN:0026-1165
2186-9057
DOI:10.2151/jmsj1965.63.1_100