同種造血幹細胞移植後の生着不全に対する再移植の検討

同種造血幹細胞移植後の生着不全は, しばしば致死的となる重大な合併症である.免疫抑制を強化しての再移植を必要とするが, 非血縁者間移植や臍帯血移植後の自己造血を伴わない早期の生着不全では, 同一ドナーからの再移植は困難であり, 緊急を要する問題である.本論文では, 当施設で経験した再移植症例を検討した.1995~2000年に7例の生着不全に対し再移植を施行した.5例は非悪性腫瘍患者で, うち1例は頻回の輸血歴のある重症再生不良性貧血の患者であった.生着不全は, 6例が早期で, 1例が晩期 (晩期拒絶) であった.血縁者間移植後の4例は, 同一ドナーから再移植を行った.非血縁者間移植後の3例 (...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 15; no. 5; pp. 388 - 395
Main Authors 原, 純一, 藤崎, 弘之, 時政, 定雄, 太田, 秀明, 澤田, 明久, 松田, 佳子, 金, 智裕, 大杉, 夕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 2001
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.15.388

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Summary:同種造血幹細胞移植後の生着不全は, しばしば致死的となる重大な合併症である.免疫抑制を強化しての再移植を必要とするが, 非血縁者間移植や臍帯血移植後の自己造血を伴わない早期の生着不全では, 同一ドナーからの再移植は困難であり, 緊急を要する問題である.本論文では, 当施設で経験した再移植症例を検討した.1995~2000年に7例の生着不全に対し再移植を施行した.5例は非悪性腫瘍患者で, うち1例は頻回の輸血歴のある重症再生不良性貧血の患者であった.生着不全は, 6例が早期で, 1例が晩期 (晩期拒絶) であった.血縁者間移植後の4例は, 同一ドナーから再移植を行った.非血縁者間移植後の3例 (うち2例は臍帯血移植後) では, HLA2座あるいは3座不一致の血縁ドナーから再移植を行い, うち2例ではCD34陽性細胞末梢血移植を施行した.再移植時は, 主として全身放射線照射あるいはHudarabineを用い, 前処置を強化した.頻回輸血歴のある再生不良性貧血1例を除く6例で生着が得られた.結論として, 1) 生着不全に対して再移植は有効であった.2) 全身放射線照射あるいはHudarabineは再移植時の免疫抑制に効果的であった.3) 非血縁者間移植後の生着不全に対して, HLA不一致血縁ドナーからのCD34陽性細胞移植は有用であった.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.15.388