視覚障害特別支援学校中学部・高等部における点字切り替えの心理的受容過程に関する事例的研究

本研究では、墨字を使用していたが視力低下により、点字に切り替える必要がある生徒に対する点字切り替えについて心理的な受容過程を明らかにするため、切り替え指導を中学・高校時代に受けた視覚障害者にインタビュー調査を行った。その結果、点字切り替え指導の心理的受容過程を①切り替え前の心境、②切り替え途中の心境、③教科学習における心境、④他者とのかかわり、⑤得たこと、の5項目に整理することができ、それぞれの心境が明らかになった。また、対象者全員が点字切り替えによって、ポジティブな経験や喜びを得ており、点字切り替えの途中に感じていた不安や恐怖を払拭し、希望を叶えたり、新たな希望を得ることにつながったことが明...

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Published in障害科学研究 Vol. 49; no. 1; pp. 29 - 40
Main Authors 高橋 利恵子, 小林 秀之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 障害科学学会 31.03.2025
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ISSN1881-5812
2432-0714
DOI10.20847/adsj.49.1_29

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Summary:本研究では、墨字を使用していたが視力低下により、点字に切り替える必要がある生徒に対する点字切り替えについて心理的な受容過程を明らかにするため、切り替え指導を中学・高校時代に受けた視覚障害者にインタビュー調査を行った。その結果、点字切り替え指導の心理的受容過程を①切り替え前の心境、②切り替え途中の心境、③教科学習における心境、④他者とのかかわり、⑤得たこと、の5項目に整理することができ、それぞれの心境が明らかになった。また、対象者全員が点字切り替えによって、ポジティブな経験や喜びを得ており、点字切り替えの途中に感じていた不安や恐怖を払拭し、希望を叶えたり、新たな希望を得ることにつながったことが明らかとなった。今後は、切り替え生徒の置かれている環境やこれまでの経験がどのように影響して各心境に至るのかを明らかにすること、各心境に対する教育的対応について研究する必要があると考えられる。
ISSN:1881-5812
2432-0714
DOI:10.20847/adsj.49.1_29