PMIを用いた我が国の死亡構造の推移に関する研究

PMI(Proportional Mortality Indicator)は全死亡数の中に占める50才以上の死亡割合を示す健康指標の一つである。この指標の算出は簡単であるが人口構成の知識なくして観察集団の健康水準を把握することができるとともに死亡構造についても明らかにすることができるために粗死亡率よりも有用であるといえる。 著者はPMIを用いて1920年から1978年における我が国の全死亡のみならず,脳血管疾患,悪性新生物,心疾患など14の主要死因の長期傾向について,従来用いられた50才の基準年齢の代わりに50才だけでなく60才,70才,80才を用いて分折した。その結果,全死因に関しては第2次...

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Published in民族衛生 Vol. 48; no. 2; pp. 94 - 99
Main Authors 山口, 誠哉, 加納, 克己
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本民族衛生学会 1982
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ISSN0368-9395
1882-868X
DOI10.3861/jshhe.48.94

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Summary:PMI(Proportional Mortality Indicator)は全死亡数の中に占める50才以上の死亡割合を示す健康指標の一つである。この指標の算出は簡単であるが人口構成の知識なくして観察集団の健康水準を把握することができるとともに死亡構造についても明らかにすることができるために粗死亡率よりも有用であるといえる。 著者はPMIを用いて1920年から1978年における我が国の全死亡のみならず,脳血管疾患,悪性新生物,心疾患など14の主要死因の長期傾向について,従来用いられた50才の基準年齢の代わりに50才だけでなく60才,70才,80才を用いて分折した。その結果,全死因に関しては第2次世界大戦の前と後では明らかに傾向の違いがみられ,戦後の著しい上昇が認められた。とくに肺炎及び気管支炎は戦前は男女とよに30%を割っていたのに戦後は急激に上昇し,男女ともに1978年にはPMI50で90%以上となり,これらの疾患による死亡が若年層から高年齢層に移動したことを示している。また脳血管疾患におけるPMIは戦前も90%近くで極めて高かったがPMI60,70,80においても高くなりつつあり,この疾患による死亡がさらに高年齢に移動していることを示唆している。
ISSN:0368-9395
1882-868X
DOI:10.3861/jshhe.48.94