急性期声帯瘢痕に対する塩基性線維芽細胞増殖因子ハイドロゲルを用いた Drug delivery system (DDS) の効果

はじめに: 声帯瘢痕は外傷, 炎症, または手術操作などにより, 声帯粘膜固有層の層構造が破綻し, 声帯の物性が硬く変化し深刻な音声障害を来す疾患である. 瘢痕化した声帯粘膜では, コラーゲンの過剰蓄積, ヒアルロン酸・エラスチンの減少・消失, ファイブロネクチンの蓄積など細胞外マトリックスの構造変化がみられる. これまでに音声外科的治療として声帯内方移動術(枠組み手術)や, コラーゲン, ヒアルロン酸, 脂肪などの声帯注入術などが試みられてきたが, 声帯粘膜の組織構造そのものを再生するものではなく, 効果は極めて限定的であった. 成長因子(growth factor)は強力な組織再生効果を持...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 7; pp. 973 - 974
Main Authors 岸本, 曜, 金丸, 眞一, 水田, 匡信, 中村, 達雄, 平野, 滋, 小林, 俊樹, 樋渡, 直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.07.2017
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.120.973

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Summary:はじめに: 声帯瘢痕は外傷, 炎症, または手術操作などにより, 声帯粘膜固有層の層構造が破綻し, 声帯の物性が硬く変化し深刻な音声障害を来す疾患である. 瘢痕化した声帯粘膜では, コラーゲンの過剰蓄積, ヒアルロン酸・エラスチンの減少・消失, ファイブロネクチンの蓄積など細胞外マトリックスの構造変化がみられる. これまでに音声外科的治療として声帯内方移動術(枠組み手術)や, コラーゲン, ヒアルロン酸, 脂肪などの声帯注入術などが試みられてきたが, 声帯粘膜の組織構造そのものを再生するものではなく, 効果は極めて限定的であった. 成長因子(growth factor)は強力な組織再生効果を持ち, われわれは声帯瘢痕に対し塩基性細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor ; bFGF)が治療効果を持つことを報告してきた. しかし, bFGFの作用時間は極めて短く, 再生効果を得るためには複数回の注射が必要であった.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.120.973