重症感染症に対するpH4処理ヒト免疫グロブリン製剤IG-100と抗生剤との併用効果
IG-100はスイス赤十字社により開発された静注用ヒト免疫グロブリン製剤であり, Cohnのエタノール分画法に基づきpH4処理により調製される. 本邦では1982年以来, 抗生剤療法に抵抗性の重症細菌感染症並びに重症真菌感染症に対するIG-100の臨床的検討が行なわれてきた. IG-100の投与を受けた340例の患者のうち, 安全性評価に供された症例は332例 (97.6%) であり, 効果判定可能な採用例は183例 (53.8%) であった. 332例の内訳は, 呼吸器感染症42.2%, 敗血症疑30.1%, 敗血症8.7%, 尿路感染症3.0%等であった. 大部分の患者が何らかの基礎疾患を...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 58; no. 10; pp. 1001 - 1024 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
1984
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.58.1001 |
Cover
Summary: | IG-100はスイス赤十字社により開発された静注用ヒト免疫グロブリン製剤であり, Cohnのエタノール分画法に基づきpH4処理により調製される. 本邦では1982年以来, 抗生剤療法に抵抗性の重症細菌感染症並びに重症真菌感染症に対するIG-100の臨床的検討が行なわれてきた. IG-100の投与を受けた340例の患者のうち, 安全性評価に供された症例は332例 (97.6%) であり, 効果判定可能な採用例は183例 (53.8%) であった. 332例の内訳は, 呼吸器感染症42.2%, 敗血症疑30.1%, 敗血症8.7%, 尿路感染症3.0%等であった. 大部分の患者が何らかの基礎疾患を有しており, 主なものは白血球及びその他の血液疾患51.5%, 悪性腫蕩19.9%であった. 採用例183例の臨床効果は, 著効28例, 有効74例, やや有効28例, 無効43例, 不明10例であり, 有効率は59.0%であった. 起炎菌は128例の患者において確認された. これらの患者のうち細菌学的効果判定が可能であったのは66例であり, その成績は陰性化36例, 一部消失4例, 減少3例, 不変18例, 菌交代5例で菌陰性化率は62.1%であった. 本剤の有効性の背景となる因子の解析では, 特にIG-100投与後の白血球数が正常値のものでは低値群に比し有効率が高く, 重症感染症における治癒機転に好中球を主体とする白血球が強く関与することが示唆された. 副作用発現率は0.9%であり, いずれも実用上問題と考えられるものはなく, また, 本剤に起因すると考えられる臨床検査値異常は認められなかった. 重症細菌感染症及び重症真菌感染症に対するIG-100と抗生剤の併用療法は, 安全かつ有効な治療法であると考えられた. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.58.1001 |