無症候性脳梗塞と症候性脳梗塞における危険因子の比較検討血清脂質異常について

健常者と無症候性ならびに症候性脳梗塞 (ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞) における血清脂質異常について検討を行った。 (1) 症候性脳梗塞2群では, 健常者や無症候性脳梗塞と比べて血清HDL-コレステロール (HDLC) 値が有意に低く, 低HDLC血症の占める割合が高い. (2) 4群間で総コレステロール, 中性脂肪, LDLコレステロールの平均値に違いはみられない. (3) 脳ドック受診者に比べて症候性脳梗塞2群では, 低HDL-C血症を含む複数の危険因子を有する頻度が高い. (4) 健常者と無症候性脳梗塞間では各血清脂質の平均値ならびに異常値の分布に違いはみられない.無症候性脳梗塞の...

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Published in脳卒中 Vol. 18; no. 4; pp. 274 - 281
Main Authors 川畑, 信也, 田中, 友二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.08.1996
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.18.274

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Summary:健常者と無症候性ならびに症候性脳梗塞 (ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞) における血清脂質異常について検討を行った。 (1) 症候性脳梗塞2群では, 健常者や無症候性脳梗塞と比べて血清HDL-コレステロール (HDLC) 値が有意に低く, 低HDLC血症の占める割合が高い. (2) 4群間で総コレステロール, 中性脂肪, LDLコレステロールの平均値に違いはみられない. (3) 脳ドック受診者に比べて症候性脳梗塞2群では, 低HDL-C血症を含む複数の危険因子を有する頻度が高い. (4) 健常者と無症候性脳梗塞間では各血清脂質の平均値ならびに異常値の分布に違いはみられない.無症候性脳梗塞の血清脂質は健常者と類似した動態を示している.一方, 症候性脳梗塞2群では, 健常者や無症候性脳梗塞と比べて血清HDLC値が低く, 低HDLC血症の占める割合が高いことから無症候性脳梗塞とその病態が異なると考えられる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.18.274