定期的なグループトレーニングが中高齢者の脈波伝搬速度に及ぼす影響

目的 中高齢者を対象に,自治体で主催されるグループトレーニングを考案し,動脈スティフネスの指標である脈波伝搬速度に及ぼす影響について明らかにしようとした。 対象と方法 対象者は86人の女性中高齢者であり,1 回90分間のグループトレーニングを週 2 回,3 か月間実施する介入群(45人;69.8±7.2歳)と同期間に運動を実施しない対照群(41人;68.9±7.3歳)とに無作為に分けた。グループトレーニングの内容は主にラバーチューブ,ダンベルを用いた抵抗性運動と椅座位で音楽に合わせながら下肢中心の有酸素性運動で構成される内容であった。運動介入期間前後に血圧脈波検査装置を用いて,上腕収縮期,拡張...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 57; no. 4; pp. 271 - 278
Main Authors 高橋, 良徳, 北畠, 義典, 三浦, 哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.57.4_271

Cover

More Information
Summary:目的 中高齢者を対象に,自治体で主催されるグループトレーニングを考案し,動脈スティフネスの指標である脈波伝搬速度に及ぼす影響について明らかにしようとした。 対象と方法 対象者は86人の女性中高齢者であり,1 回90分間のグループトレーニングを週 2 回,3 か月間実施する介入群(45人;69.8±7.2歳)と同期間に運動を実施しない対照群(41人;68.9±7.3歳)とに無作為に分けた。グループトレーニングの内容は主にラバーチューブ,ダンベルを用いた抵抗性運動と椅座位で音楽に合わせながら下肢中心の有酸素性運動で構成される内容であった。運動介入期間前後に血圧脈波検査装置を用いて,上腕収縮期,拡張期血圧,および上腕—足の脈波伝播速度を計測した。また,起居能力,歩行能力,手腕作業能力,身辺作業能力からなる生活体力テストも実施した。 結果 介入群および対照群の運動介入期間前後の収縮期血圧の変化率は−3.3±8.4%と1.7±7.9% (P<0.01),拡張期血圧の変化率は−4.3±7.8%と0.9±7.7% (P<0.01),および脈波伝搬速度の変化率は−8.9±5.0%と0.2±5.4% (P<0.001)であり,両群間に有意な差が認められた。また,起居能力の変化率は−11.0±11.4%と−2.0±10.7% (P<0.001),歩行能力の変化率は−6.8±10.3%と−2.6±10.2% (n.s.),手腕作業能力の変化率は−3.5±13.2%と−1.6±7.5% (n.s.),および身辺作業能力の変化率は−7.6±15.2%と0.0±12.9% (P<0.05)であり,起居能力および身辺作業能力について,両群間に有意な差が認められた。 結論 我々が考案したグループトレーニングは中高齢者女性の血圧,脈波伝搬速度の改善および起居能力,身辺作業能力といった基本的動作能力の改善に有用であることが示された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.57.4_271