精神科常勤医不在の救急病院での精神保健福祉士を含む精神科リエゾンチーム活動の効果 自損患者への対応に焦点を当てて

背景・目的:救急診療には精神科診療を要する場合が少なくないが,精神科対応が必要な患者の不応需や外傷患者の在院日数延長などに課題が残されている。精神科常勤医不在の救急病院で専任精神保健福祉士を配した精神科リエゾンチームを組織し,その活動が自損患者の受け入れや在院日数,ケア改善に効果があるかを検討した。方法:自損患者への対応数,精神科リエゾンチームの活動を開始前後,連携精神科病院と他病院で在院日数を比較検討した。 結果:自損患者への対応回数は前21例/ 年から後95例/ 年と著明に増加した。転院までの日数は前5.6±6.1日,後7.1±10.5日と有意な差がなかった。連携病院と他病院では外傷患者で...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 4; pp. 490 - 495
Main Authors 薬師寺, 秀明, 森田, 正則, 天野, 浩司, 横田, 順一朗, 狗巻, 洋平, 中田, 康城
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 31.08.2021
日本臨床救急医学会
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ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.24.490

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Summary:背景・目的:救急診療には精神科診療を要する場合が少なくないが,精神科対応が必要な患者の不応需や外傷患者の在院日数延長などに課題が残されている。精神科常勤医不在の救急病院で専任精神保健福祉士を配した精神科リエゾンチームを組織し,その活動が自損患者の受け入れや在院日数,ケア改善に効果があるかを検討した。方法:自損患者への対応数,精神科リエゾンチームの活動を開始前後,連携精神科病院と他病院で在院日数を比較検討した。 結果:自損患者への対応回数は前21例/ 年から後95例/ 年と著明に増加した。転院までの日数は前5.6±6.1日,後7.1±10.5日と有意な差がなかった。連携病院と他病院では外傷患者で在院日数は7.5±7.5日と22.0±22.5日と連携病院で有意に短かった。結論:院内での精神科リエゾン活動と精神科病院や行政との連携調整を主な役割とする精神科リエゾンチームの活動は,自損患者に対する円滑な精神科対応を行ううえで有効と考えられた。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.24.490