波照間島におけるカタグロトビの記録

2023年8月12日に波照間島ではじめてカタグロトビElanus caeruleusを記録した.この個体は主に羽衣の特徴から亜種vociferusであり,若鳥と推定された.日本国内でのカタグロトビとされる個体の記録は,1995年の石垣島での観察事例が初めての記録で,2017年には石垣島で国内初の繁殖も確認された.しかしこれまで学術論文でこれらの記録が報告されたことはなく,明確な同定根拠のもと日本国内のカタグロトビについて記述することが求められていた.本報告は,形態的特徴から本個体が同属の他種ではないことを明示的に示した国内のカタグロトビの初めての学術報告である.カタグロトビはこの半世紀ほどの間...

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Published inBird Research Vol. 20; pp. S1 - S12
Main Authors 大林, 恭子, 澤田, 明, 波照間, 良美, 星, 日出子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人バードリサーチ 2024
Subjects
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ISSN1880-1587
1880-1595
DOI10.11211/birdresearch.20.S1

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Summary:2023年8月12日に波照間島ではじめてカタグロトビElanus caeruleusを記録した.この個体は主に羽衣の特徴から亜種vociferusであり,若鳥と推定された.日本国内でのカタグロトビとされる個体の記録は,1995年の石垣島での観察事例が初めての記録で,2017年には石垣島で国内初の繁殖も確認された.しかしこれまで学術論文でこれらの記録が報告されたことはなく,明確な同定根拠のもと日本国内のカタグロトビについて記述することが求められていた.本報告は,形態的特徴から本個体が同属の他種ではないことを明示的に示した国内のカタグロトビの初めての学術報告である.カタグロトビはこの半世紀ほどの間に世界で同時多発的に分布を拡大してきた.分布拡大にまつわる生態学のよい研究材料であり,その分布変遷や生態系への影響に関する調査が継続して実施されることが期待される.
ISSN:1880-1587
1880-1595
DOI:10.11211/birdresearch.20.S1