惑星大気のためのラインバイラインおよび相関 k 分布放射モデルの開発

金星および火星を想定した惑星大気のシミュレーションと調査に用いることを目的として、ラインバイラインおよび相関 k 分布放射モデルを開発した。ラインバイラインモデルの結果は、金星と現在および古代の火星に関する観測結果や先行研究の結果と比較することで検証し、計算された放射場は観測される分布と良く一致し、先行研究の結果の範囲内にあることを示した。このラインバイラインモデルの結果に基づいて、相関 k 分布モデルのためのパラメータセットを作成した。作成されたパラメータを用いて相関 k 分布モデルで計算された放射場は、地表面気圧の広い範囲に対して、ラインバイラインモデルによる放射場とよく一致することを確認...

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Published in気象集誌. 第2輯 Vol. 101; no. 1; pp. 39 - 66
Main Authors 林, 祥介, はしもと, じょーじ, 倉本, 圭, 高橋, 芳幸, 石渡, 正樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 日本気象学会 2023
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ISSN0026-1165
2186-9057
DOI10.2151/jmsj.2023-003

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Summary:金星および火星を想定した惑星大気のシミュレーションと調査に用いることを目的として、ラインバイラインおよび相関 k 分布放射モデルを開発した。ラインバイラインモデルの結果は、金星と現在および古代の火星に関する観測結果や先行研究の結果と比較することで検証し、計算された放射場は観測される分布と良く一致し、先行研究の結果の範囲内にあることを示した。このラインバイラインモデルの結果に基づいて、相関 k 分布モデルのためのパラメータセットを作成した。作成されたパラメータを用いて相関 k 分布モデルで計算された放射場は、地表面気圧の広い範囲に対して、ラインバイラインモデルによる放射場とよく一致することを確認した。さらに、これらのパラメータを組み込んだ相関 k 分布モデルを用いて金星について放射場の評価を行うとともに、金星と火星について放射対流平衡の鉛直分布を計算した。金星について得られた鉛直の熱的構造は観測と定性的に整合し、火星の地表面気圧および地表面温度の振る舞いは先行研究で報告されているものと同様であった。これらの結果は、放射パラメータの生成を含む本研究のモデルが、二酸化炭素を主成分とする太陽系および系外惑星大気の気候を調べるために適用可能であることを示している。
ISSN:0026-1165
2186-9057
DOI:10.2151/jmsj.2023-003