コンピュータによる心臓シミュレーションの進歩

循環器領域では,早くからシミュレーションが研究に用いられてきたが,近年の計算科学の進歩は,研究目的のみならず,臨床を含む広い分野での応用を可能としている.分子レベルから臓器レベルまでの構造・機能を三次元の心臓モデルに統合し,分子機能をもとに電気生理現象,収縮弛緩,血行動態までを再現するマルチスケール・マルチフィジックス心臓シミュレーションは,個別心臓モデル作製を通じてテーラーメイド医療への応用ができるのみならず,ヒトに対する反応を正確に再現することで,薬剤の臨床試験及び医療機器開発を全てコンピュータのなかで行うことを可能とし,製品化の加速に貢献できる.本稿では,東京大学において開発された心臓シ...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 107; no. 12; pp. 2532 - 2538
Main Authors 杉浦, 清了, 久田, 俊明, 鷲尾, 巧, 岡田, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.12.2018
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.107.2532

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Summary:循環器領域では,早くからシミュレーションが研究に用いられてきたが,近年の計算科学の進歩は,研究目的のみならず,臨床を含む広い分野での応用を可能としている.分子レベルから臓器レベルまでの構造・機能を三次元の心臓モデルに統合し,分子機能をもとに電気生理現象,収縮弛緩,血行動態までを再現するマルチスケール・マルチフィジックス心臓シミュレーションは,個別心臓モデル作製を通じてテーラーメイド医療への応用ができるのみならず,ヒトに対する反応を正確に再現することで,薬剤の臨床試験及び医療機器開発を全てコンピュータのなかで行うことを可能とし,製品化の加速に貢献できる.本稿では,東京大学において開発された心臓シミュレータUT-Heartを中心に具体例を紹介する.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.107.2532