iPS細胞研究の神経内科疾患への展開

2006年,Takahashiらにより発表された体細胞の初期化法(リプログラミング)は,数個の遺伝子導入により胚性幹細胞に匹敵する多分化能を有する人工多能性幹細胞を作成することを可能にした.このiPS細胞をもちいて拒絶反応のない再生医療が今まさに実現となりつつある.一方,神経疾患の研究においては,これまで生体よりの入手が困難であった疾患組織をiPS細胞から多量に作成することが可能となり,画期的な研究マテリアルとして期待されている.特に,ここ数年間で疾患iPS細胞研究は神経変性の病態理解に大きな進展をもたらしつつある.本稿では,これまでのiPS細胞研究により見出された神経疾患における知見を概説し...

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Bibliographic Details
Published in日本内科学会雑誌 Vol. 102; no. 12; pp. 3230 - 3236
Main Authors 伊東, 大介, 鈴木, 則宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2013
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.102.3230

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Summary:2006年,Takahashiらにより発表された体細胞の初期化法(リプログラミング)は,数個の遺伝子導入により胚性幹細胞に匹敵する多分化能を有する人工多能性幹細胞を作成することを可能にした.このiPS細胞をもちいて拒絶反応のない再生医療が今まさに実現となりつつある.一方,神経疾患の研究においては,これまで生体よりの入手が困難であった疾患組織をiPS細胞から多量に作成することが可能となり,画期的な研究マテリアルとして期待されている.特に,ここ数年間で疾患iPS細胞研究は神経変性の病態理解に大きな進展をもたらしつつある.本稿では,これまでのiPS細胞研究により見出された神経疾患における知見を概説し,今後の病態解明,創薬への可能性について論じる.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.102.3230