天然フラクチャー型貯留層の代表的要素体積に関するシミュレーション評価
天然フラクチャー型貯留層におけるフラクチャーおよびマトリクス内の流動特性を有効浸透率で表し, 単一孔げき型モデルによってシミュレーションを行うのは実際的な手法の一つである。本研究では, 流体挙動に対する有効浸透率の計算領域およびシミュレーショングリッドの大きさの影響について究明し, 二重孔げき媒体と同等の単一孔げき媒体について検定した。流動シミュレーションでは, 二重孔げき系のアップスケーリングによって得られる有効浸透率テンソルを扱うために, 流束連続型全テンソルモデルを適用した。 まず, 2次元の統計的フラクチャー分布モデルについて, 計算領域が有効浸透率に及ぼす効果を評価し, 単位面積の領...
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Published in | Journal of the Japan Petroleum Institute Vol. 45; no. 3; pp. 156 - 168 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
公益社団法人 石油学会
2002
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ISSN | 1346-8804 1349-273X |
DOI | 10.1627/jpi.45.156 |
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Summary: | 天然フラクチャー型貯留層におけるフラクチャーおよびマトリクス内の流動特性を有効浸透率で表し, 単一孔げき型モデルによってシミュレーションを行うのは実際的な手法の一つである。本研究では, 流体挙動に対する有効浸透率の計算領域およびシミュレーショングリッドの大きさの影響について究明し, 二重孔げき媒体と同等の単一孔げき媒体について検定した。流動シミュレーションでは, 二重孔げき系のアップスケーリングによって得られる有効浸透率テンソルを扱うために, 流束連続型全テンソルモデルを適用した。 まず, 2次元の統計的フラクチャー分布モデルについて, 計算領域が有効浸透率に及ぼす効果を評価し, 単位面積の領域内における平均長0.02, 0.06, および0.2のフラクチャー分布について有効浸透率の代表的要素体積 (REV) を求めた。平均長0.02の短いフラクチャー分布では, アップスケーリングの面積がREV以下でも有効浸透率の変動は小さいので, 有効浸透率を一様に付与した均質モデルによってトレーサー試験の挙動予測を正しく行うことができる。 平均長0.06の中程度および0.2の長いフラクチャー分布では, REV以下のアップスケーリング面積に対応する有効浸透率は, 局所的な不均質性を反映して大きく変動する。精度のよいシミュレーションのためには, このような小規模の局所的不均質性を考慮する必要がある。不均質性をモデル化するには, フラクチャー平均長と同程度の粗グリッドに個別の有効浸透率を付与し, さらに細グリッドに分割するのが数値的分散の抑制に有効である。 |
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ISSN: | 1346-8804 1349-273X |
DOI: | 10.1627/jpi.45.156 |