結核症の補助診断法としての糖脂質抗体価測定

結核症の補助診断に資する目的のため, Mycobacterium bovis BCG株より糖脂質AおよびC族を抽出精製し, 両者を抗原としたELISA法でヒトの血清IgG抗体価を測定した. 健常者30例ではA抗体, C抗体陽性例は各1例 (3.3%) であったのに対し, 活動性肺結核患者で排菌中または発症より3ヵ月以内の40例では, A抗体陽性14例 (35.0%), C抗体陽性28例 (70.0%) であり, いずれかが陽性を示したものは32例 (80.0%) と有意に高かった. 両抗体価は結核発症よりの時間経過とともに低下したが, C抗体価は発症より2年以上経過した結核患者でも22例中4例...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 59; no. 10; pp. 984 - 995
Main Author 重岡, 秀信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1985
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.59.984

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Summary:結核症の補助診断に資する目的のため, Mycobacterium bovis BCG株より糖脂質AおよびC族を抽出精製し, 両者を抗原としたELISA法でヒトの血清IgG抗体価を測定した. 健常者30例ではA抗体, C抗体陽性例は各1例 (3.3%) であったのに対し, 活動性肺結核患者で排菌中または発症より3ヵ月以内の40例では, A抗体陽性14例 (35.0%), C抗体陽性28例 (70.0%) であり, いずれかが陽性を示したものは32例 (80.0%) と有意に高かった. 両抗体価は結核発症よりの時間経過とともに低下したが, C抗体価は発症より2年以上経過した結核患者でも22例中4例 (18.2%) の陽性例を認めた. 対照とした細菌性呼吸器感染症患者22例, 肺癌患者8例においては両抗体価とも陽性例はなく, 両抗体価を併せて測定することは結核症の補助診断法として有用と考えられた. 尚, これらの抗体価はツベルクリン反応の程度とは全く相関しなかった. また, 維持血液透析患者に併発した活動性結核患者では, 9例中A抗体陽性2例, C抗体陽性2例にすぎず, またその抗体価も低値であった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.59.984