乗車者の乗り心地を考慮した車いす発進 ・ 停止操作方法の検討

車いすによる移送は居宅および医療 ・ 保健福祉施設においても頻度の高い介助操作であるが,その操作指標は明確とされていない.本研究では,実際の介助場面において用いることが可能な,望ましい発進 ・ 停止操作方法を提案することを目的とし,加速および減速方法と乗り心地との関係を検討した.被験者は介助者に看護師 1名,乗車者に若年男性 12名とした.介助者に「加速に要する距離」を条件とした発進操作と「減速に要する距離」を条件とした停止操作をさせ,車いすの走行軌跡,乗車者の姿勢角 ・ 筋電図 ・ 瞬目 ・ 呼吸の測定および主観評価を行った.発進では 1.8 m,停止では 1.3mおよび 1.0 mより短い...

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Published in日本看護技術学会誌 Vol. 9; no. 1; pp. 83 - 93
Main Authors 齋藤, 誠二, 能登, 裕子, 塩満, 春彦, 村木, 里志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護技術学会 15.04.2010
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ISSN1349-5429
2423-8511
DOI10.18892/jsnas.9.1_83

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Summary:車いすによる移送は居宅および医療 ・ 保健福祉施設においても頻度の高い介助操作であるが,その操作指標は明確とされていない.本研究では,実際の介助場面において用いることが可能な,望ましい発進 ・ 停止操作方法を提案することを目的とし,加速および減速方法と乗り心地との関係を検討した.被験者は介助者に看護師 1名,乗車者に若年男性 12名とした.介助者に「加速に要する距離」を条件とした発進操作と「減速に要する距離」を条件とした停止操作をさせ,車いすの走行軌跡,乗車者の姿勢角 ・ 筋電図 ・ 瞬目 ・ 呼吸の測定および主観評価を行った.発進では 1.8 m,停止では 1.3mおよび 1.0 mより短い操作条件において乗車者の上半身が傾斜し,主観的乗り心地が低下した.さらに減速に要する距離が 1.0 mより短い急停止時には大腿直筋に活動が生じ,呼吸数が増加した.そのため,乗車者の乗り心地を考慮した望ましい操作方法として,①発進は,加速に用いる距離が短い加速は避け,1.8 m以上の距離をもって加速すること,②停止は,少なくとも 1.0~ 1.3 m前には減速を開始するべきであると示唆された.
ISSN:1349-5429
2423-8511
DOI:10.18892/jsnas.9.1_83