生活習慣が自覚症状に与える影響に関する研究

目的 本研究は,生活習慣と自覚症状との関連を把握し,生活の質の向上,健康に与える影響を把握する基礎資料を得ることを目的とした。 方法 1991年から現在まで継続している大規模コホート調査の一部を再分析した。対象は,T 村に在住の20歳から59歳の全住民で95年に調査協力を得られた者で98年までの追跡調査が可能であった者1,834人である。χ2 検定,多重ロジステイック回帰分析を用いて,生活習慣と 3 年後の自覚症状との関連を分析した。 成績 年齢,性,本研究で自覚症状に影響を与えた因子を投入した多重ロジスティック回帰分析によるオッズ比は,朝食をほとんど食べない者は息切れ3.37,間食をいつもす...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 50; no. 5; pp. 435 - 445
Main Authors 安梅, 勅江, 佐藤, 泉, 荒井, 比紗子, 片倉, 直子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2003
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.50.5_435

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Summary:目的 本研究は,生活習慣と自覚症状との関連を把握し,生活の質の向上,健康に与える影響を把握する基礎資料を得ることを目的とした。 方法 1991年から現在まで継続している大規模コホート調査の一部を再分析した。対象は,T 村に在住の20歳から59歳の全住民で95年に調査協力を得られた者で98年までの追跡調査が可能であった者1,834人である。χ2 検定,多重ロジステイック回帰分析を用いて,生活習慣と 3 年後の自覚症状との関連を分析した。 成績 年齢,性,本研究で自覚症状に影響を与えた因子を投入した多重ロジスティック回帰分析によるオッズ比は,朝食をほとんど食べない者は息切れ3.37,間食をいつもする者は歯の痛み2.06,喫煙者は頭痛0.39,はきけ18.89,尿が出にくい・もれる0.03,睡眠をあまり取っていない者は目の疲れ1.76と下痢4.07, BMI 値18.5未満,25以上の者はめまい・立ちくらみ1.82で有意な関係が見られた(以上すべて P<0.05)。 結論 本研究の結果から,望ましい生活習慣により自覚症状を少なくする傾向があること,1 つの生活習慣の改善により複数の自覚症状の予防が可能であること,健康を維持していくには多様な生活習慣の定着を促すことが必要であることが明らかになった。  生活習慣と住民が直接感じる自覚症状との関連や望ましい生活習慣を複数確立することの意義を住民が認識し,疾患の予防,生活の質の向上につなげることが重要だろう。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.50.5_435