地域在住高齢者の社会関係の特徴とその後2年間の要介護状態発生との関連性

目的 地域在住高齢者の社会関係の特徴(ソーシャルネットワーク,ソーシャルサポートの受領および提供)とその後2年間の要介護状態発生の関連性を明らかにする。 方法 2000年 2 月に愛知県 A 町の65歳以上高齢者全員を対象に質問紙調査を実施し(回収数3,596人,回収率72.0%),その後 2 年間の死亡や要介護状態発生を追跡した。2000年 4 月時点で要介護状態にはなかった2,725人を分析対象とし,コックス比例回帰分析により,社会関係変数と要介護状態発生の関連を分析した。 成績 1. 2 年間に観察された死亡は94人(3.4%),要介護状態発生は122人(4.5%)であった。男性では,サ...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 52; no. 6; pp. 456 - 467
Main Authors 近藤, 克則, 樋口, 京子, 久世, 淳子, 吉井, 清子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2005
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.52.6_456

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Summary:目的 地域在住高齢者の社会関係の特徴(ソーシャルネットワーク,ソーシャルサポートの受領および提供)とその後2年間の要介護状態発生の関連性を明らかにする。 方法 2000年 2 月に愛知県 A 町の65歳以上高齢者全員を対象に質問紙調査を実施し(回収数3,596人,回収率72.0%),その後 2 年間の死亡や要介護状態発生を追跡した。2000年 4 月時点で要介護状態にはなかった2,725人を分析対象とし,コックス比例回帰分析により,社会関係変数と要介護状態発生の関連を分析した。 成績 1. 2 年間に観察された死亡は94人(3.4%),要介護状態発生は122人(4.5%)であった。男性では,サポート受領量が多かった人ほど要介護状態発生リスクが高かった(ハザード比(以下 HR)1.12, 95%信頼区間(以下95%CI)1.04-1.21)。女性では,別居家族との接触頻度が少なかった人ほど,要介護状態発生リスクが高かった(HR2.14, 95%CI1.27-3.62)。また,サポート提供をしていなかったことが,女性の要介護状態発生リスクの高さと強く関連していた(HR2.75, 95%CI1.61-4.71)。  2. サポート授受のバランスとの関連では,男性において,サポートの提供をしておらず且つサポートを多く受領している場合に,要介護状態発生リスクが有意に高かった(HR2.90, 95%CI1.17-7.18)。  3. 1 人暮らし女性では,他の世帯類型女性で認められたソーシャルネットワークの豊富さやサポート提供と要介護状態発生リスクの低さの関連性が認められなかった。 結論 高齢者のソーシャルネットワークやソーシャルサポートと要介護状態発生の関連には,性別や世帯類型により違いのあることが確認された。また,高齢者自身がサポートを提供することも,要介護状態発生リスクを低める上で重要である可能性が示唆された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.52.6_456