イチゴの夏季育苗におけるランナー子株の挿し苗の低温による発根促進

夏季の促成イチゴ高設栽培において,空中に垂れ下がったランナー子株を利用した挿し苗育苗のための実用的な手法として,イチゴ‘とちおとめ’のランナー子株の低温による発根促進効果を検討した.温度条件を変えて 7 日間挿し苗を栽培したところ,発根数は 15℃,20℃,25℃で多く,5℃の低温および 30℃の高温では明らかに減少した.挿し苗の発根に対する至適温度には,品種により違いが認められた.一方,挿し苗を 5℃で 2 日間処理し,その後,30℃で 5 日間栽培したところ,その発根状態は 5℃で処理せず,15℃で 7 日間栽培した場合と同様であった.また,発根は茎葉や茎頂を除去したクラウンのみを 5℃で...

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Published inJournal of the Japanese Society for Horticultural Science Vol. 77; no. 2; pp. 180 - 185
Main Authors Nancy, Bantog, 山田, 邦夫, 山木, 昭平, 今川, 正弘, 矢部, 和則, 齋藤, 弥生子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 園芸学会 2008
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ISSN1882-3351
1882-336X
DOI10.2503/jjshs1.77.180

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Summary:夏季の促成イチゴ高設栽培において,空中に垂れ下がったランナー子株を利用した挿し苗育苗のための実用的な手法として,イチゴ‘とちおとめ’のランナー子株の低温による発根促進効果を検討した.温度条件を変えて 7 日間挿し苗を栽培したところ,発根数は 15℃,20℃,25℃で多く,5℃の低温および 30℃の高温では明らかに減少した.挿し苗の発根に対する至適温度には,品種により違いが認められた.一方,挿し苗を 5℃で 2 日間処理し,その後,30℃で 5 日間栽培したところ,その発根状態は 5℃で処理せず,15℃で 7 日間栽培した場合と同様であった.また,発根は茎葉や茎頂を除去したクラウンのみを 5℃で 2 日間栽培しても観察され,16 時間日長条件下よりも暗黒条件下の方が良好であった.さらに,発根状態はランナー子株の葉数が 2.5 葉になった時に最も良好であった.以上の結果より,発育段階が 2.5 葉のランナー子株を切り出し,5℃の暗黒条件下で 2 日間処理した後,挿し苗を行うことが夏季の発根には好ましいことが明らかになった.
ISSN:1882-3351
1882-336X
DOI:10.2503/jjshs1.77.180