Potassiurn Titanyl Phosphate (KTP) レーザーの脳神経外科手術への使用経験

KTP (Potassiurn titanyl phosphate) レーザー手術装置を種々の開頭術の際に使用し, その有用姓を検討した。本装置は Nd: YAG レーザー光を KTP 結晶により周波数を逓倍し, 緑色レーザー光として出力する。この波長はヘモグロビンの吸収極大とほぼ一致し, 止血的切開能力の向上が図られている。レーザー光は直径0.3mmから0.6mmの水晶ファイバーにより術野に導かれる。小型軽量のバヨネット型ハンドピースは操作性に優れており, 術野の妨げとなることはなかった。また出力部先端が焼損しても容易に更新できた。これらの特性により従来摘出困難とされていた脳や頭蓋底深部の腫...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 14; no. 2; pp. 25 - 29
Main Authors 加藤, 天美, 池田, 卓也, 早川, 徹, 齋藤, 洋一, 有田, 憲生, 吉峰, 俊樹, 種子田, 護
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 1993
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm1980.14.2_25

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Summary:KTP (Potassiurn titanyl phosphate) レーザー手術装置を種々の開頭術の際に使用し, その有用姓を検討した。本装置は Nd: YAG レーザー光を KTP 結晶により周波数を逓倍し, 緑色レーザー光として出力する。この波長はヘモグロビンの吸収極大とほぼ一致し, 止血的切開能力の向上が図られている。レーザー光は直径0.3mmから0.6mmの水晶ファイバーにより術野に導かれる。小型軽量のバヨネット型ハンドピースは操作性に優れており, 術野の妨げとなることはなかった。また出力部先端が焼損しても容易に更新できた。これらの特性により従来摘出困難とされていた脳や頭蓋底深部の腫瘍性病変でも, 確実に蒸散, 凝固が可能であり, 極めて有用であった。種々の照射条件による深達度を組織学的に検討した結果, KTP レーザーによる熱変性は照射部位に比較的隈局することが動物実験でも臨床例でも明らかとなり, 本装置を慎重に使用すれば, 術野周辺への影響を最小にして, 安全に手術が可能となることが確かめられた。
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm1980.14.2_25