結核の疫学・診断・治療・予防

結核は世界人口の1/3が感染しており,年間880万人が発病し,145万人が死亡している.わが国でも年間2万人以上が発病し,結核の中まん延国といわれている.わが国の結核発病の特徴は,高齢者結核の増加,地域格差の拡大,ハイリスク者への集中などがあげられる.結核の確定診断は結核菌の証明であり,最近は核酸増幅法検査が普及し,迅速に診断確定されるようになった.治療はイソニアジド,リファンピシンを主軸に,ピラジナミドを含む初期強化短期化学療法が推奨される.結核予防法は2007年に感染症法に統合され,初感染結核に対する予防投与は,化学予防から潜在性結核感染症の治療と名称が変わり,年齢制限が廃止された.また発...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 101; no. 6; pp. 1691 - 1697
Main Author 山岸, 文雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2012
Subjects
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.101.1691

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Summary:結核は世界人口の1/3が感染しており,年間880万人が発病し,145万人が死亡している.わが国でも年間2万人以上が発病し,結核の中まん延国といわれている.わが国の結核発病の特徴は,高齢者結核の増加,地域格差の拡大,ハイリスク者への集中などがあげられる.結核の確定診断は結核菌の証明であり,最近は核酸増幅法検査が普及し,迅速に診断確定されるようになった.治療はイソニアジド,リファンピシンを主軸に,ピラジナミドを含む初期強化短期化学療法が推奨される.結核予防法は2007年に感染症法に統合され,初感染結核に対する予防投与は,化学予防から潜在性結核感染症の治療と名称が変わり,年齢制限が廃止された.また発病リスクの高い既感染者も治療の対象とした.結核感染の診断には5歳以下の小児を除き,ツベルクリン反応検査にかわり,既往のBCG接種の影響を受けない結核感染診断キットのクォンティフェロンTBゴールドが用いられている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.101.1691