8.輸血後鉄過剰症

骨髄異形成症候群(MDS)などの難治性貧血では頻回の輸血が必要になり,鉄過剰症をきたすことが多い.過剰鉄は活性酸素種の産生を介して臓器障害を引き起こすとされ,特に低リスクMDSでは予後に悪影響を与えることが示唆されている.輸血後鉄過剰症では鉄キレート剤による治療が行われるが,有効な鉄キレート療法は単なる臓器障害の改善にとどまらず,低リスクMDS患者において生存期間を延長することが分かってきた.そして興味深いことに,鉄キレート剤の投与後に血球数の改善が認められる症例があることも分かり,最近注目を集めている.本稿では輸血後鉄過剰症についてその病態と治療効果について概説する....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内科学会雑誌 Vol. 101; no. 7; pp. 1986 - 1993
Main Authors 小澤, 敬也, 鈴木, 隆浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.101.1986

Cover

More Information
Summary:骨髄異形成症候群(MDS)などの難治性貧血では頻回の輸血が必要になり,鉄過剰症をきたすことが多い.過剰鉄は活性酸素種の産生を介して臓器障害を引き起こすとされ,特に低リスクMDSでは予後に悪影響を与えることが示唆されている.輸血後鉄過剰症では鉄キレート剤による治療が行われるが,有効な鉄キレート療法は単なる臓器障害の改善にとどまらず,低リスクMDS患者において生存期間を延長することが分かってきた.そして興味深いことに,鉄キレート剤の投与後に血球数の改善が認められる症例があることも分かり,最近注目を集めている.本稿では輸血後鉄過剰症についてその病態と治療効果について概説する.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.101.1986