国際的に流行する感染症への対応

グローバル化によって感染症の流行も国際的な広がりをみせるようになり,以前には限られた地域の風土病として流行していたエボラ出血熱のような感染症が国際的な脅威となり得ることが示された.コンゴ民主共和国では,エボラ出血熱の流行が続き,中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome:MERS)は,主にサウジアラビアから継続して報告されている.鳥インフルエンザは,H5N1亜型あるいはH7N9亜型によるものが注目されてきたが,近年の報告は減少している.新興・再興感染症だけでなく,一般的な感染症であるインフルエンザ,麻疹等のVPDs(vaccine preventable...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 109; no. 3; pp. 617 - 625
Main Author 古宮, 伸洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.03.2020
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.109.617

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Summary:グローバル化によって感染症の流行も国際的な広がりをみせるようになり,以前には限られた地域の風土病として流行していたエボラ出血熱のような感染症が国際的な脅威となり得ることが示された.コンゴ民主共和国では,エボラ出血熱の流行が続き,中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome:MERS)は,主にサウジアラビアから継続して報告されている.鳥インフルエンザは,H5N1亜型あるいはH7N9亜型によるものが注目されてきたが,近年の報告は減少している.新興・再興感染症だけでなく,一般的な感染症であるインフルエンザ,麻疹等のVPDs(vaccine preventable diseases),薬剤耐性菌の拡大にもグローバル化が大きく影響している.国際社会は,このような感染症に対応するため,国際保健規則(International Health Regulations:IHR)を定め,WHO(World Health Organization)を中心に対策を行っている.日本へのインバウンドの増加により,海外で発生している感染症の流行は「対岸の火事」ではなくなりつつある.これからは,海外で流行する感染症に対して受け身に対応するだけでなく,流行地での対応にも積極的に貢献していくことが日本国内の感染症危機管理として重要になってくる.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.109.617