ポリヒドロキシ酪酸充填土壌カラムリアクターの脱窒能と細菌群集解析

生分解性プラスチックの一つであるポリヒドロキシ乳酸 (PHB) を充填した下降流式土壌カラムリアクター内での硝酸脱窒挙動と、それに関与する土壌中の細菌叢を解析した。 PHBが充填されているリアクター中部では、リアクターの運転開始60日後に硝酸性窒素 (以下NO3-Nと略す) 除去率が98%以上となり、それ以降も安定した硝酸除去がみられたのに対し、電子供与体の供給が乏しい上部でのNO3-N除去率は75日経過時においても約15%にとどまった。また、リアクター中部と下部の土壌では、全菌数および脱窒菌数がともに経時的に増加した。以上の結果から本リアクターのNO3-N除去能がPHBを電子供与体や炭素源と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本水処理生物学会誌 Vol. 41; no. 3; pp. 113 - 119
Main Authors 川越, 保徳, 金, 虎, 藤本, 綾, 古川, 憲治, 丸山, 繁, 浦上, 貞治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水処理生物学会 2005
Online AccessGet full text
ISSN0910-6758
1881-0438
DOI10.2521/jswtb.41.113

Cover

More Information
Summary:生分解性プラスチックの一つであるポリヒドロキシ乳酸 (PHB) を充填した下降流式土壌カラムリアクター内での硝酸脱窒挙動と、それに関与する土壌中の細菌叢を解析した。 PHBが充填されているリアクター中部では、リアクターの運転開始60日後に硝酸性窒素 (以下NO3-Nと略す) 除去率が98%以上となり、それ以降も安定した硝酸除去がみられたのに対し、電子供与体の供給が乏しい上部でのNO3-N除去率は75日経過時においても約15%にとどまった。また、リアクター中部と下部の土壌では、全菌数および脱窒菌数がともに経時的に増加した。以上の結果から本リアクターのNO3-N除去能がPHBを電子供与体や炭素源として利用する脱窒細菌によるものであることが明らかとなった。さらに、16S rDNAのPCR-DGGEによる細菌叢解析結果から、5種類以上の細菌の存在が示され、中でもNO3-N還元能を有するRalstonia pickettiiに近縁な細菌が、主に本リアクターのNO3-N脱窒能に寄与しているものと推定された。
ISSN:0910-6758
1881-0438
DOI:10.2521/jswtb.41.113