5-ALAを用いた光線力学療法に伴う神経膠腫細胞の急性期反応の検討

目的  5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid:以後5-ALA)を用いた光線力学療法(Photodynamic therapy:以後PDT)は正常脳構造を温存し,残存する腫瘍細胞のみを選択的に殺傷することが期待される新たな治療法の1つである.本研究の目的は,5-ALAを用いたPDTの悪性神経膠腫に対する急性期効果に関しin vitro環境においてスフェロイド,蛍光顕微鏡を用いて,形態学的,組織学的変化を明らかにすることである. 方法  C6(ラット神経膠腫細胞株)及びU251MG(ヒト神経膠腫細胞株)を用いて単層細胞培養,スフェロイド培養を行い,5-ALA(100μg...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 29; no. 4; pp. 369 - 375
Main Authors 寺坂, 俊介, 鴨嶋, 雄大, 黒田, 敏, 岩崎, 喜信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2009
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.29.369

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Summary:目的  5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid:以後5-ALA)を用いた光線力学療法(Photodynamic therapy:以後PDT)は正常脳構造を温存し,残存する腫瘍細胞のみを選択的に殺傷することが期待される新たな治療法の1つである.本研究の目的は,5-ALAを用いたPDTの悪性神経膠腫に対する急性期効果に関しin vitro環境においてスフェロイド,蛍光顕微鏡を用いて,形態学的,組織学的変化を明らかにすることである. 方法  C6(ラット神経膠腫細胞株)及びU251MG(ヒト神経膠腫細胞株)を用いて単層細胞培養,スフェロイド培養を行い,5-ALA(100μg/ml)との4時間共培養後ダイオードレーザー照射を行った(照射波長635±5 nm, 照射出力5-100 mW/cm2).PDT後7日間スフェロイド径の測定,形態変化を位相差顕微鏡下に行った.また単層培養細胞及びスフェロイドに対しH.E.染色,TUNEL染色,各蛍光色素を用いて光線力学療法後の細胞障害に関し評価を行った. 結果  ラット,ヒト株由来両スフェロイドともPDT後数日間の増大抑制効果が認められたが,大部分のスフェロイドは照射後3日目より再増大を示した.H.E 染色ではPDT後のスフェロイド表層部にクロマチン凝集を示す細胞が散見されたが,同部にTUNEL染色陽性を示す細胞は認められなかった.PDT後の各照射範囲内単層培養細胞は蛍光顕微鏡下にカルセイン陰性,エチジウムホモダイマー陽性,プロピディウムヨード陽性,ヘキスト33342陰性を示し,同様の所見がPDT後スフェロイドにおいても認められた.PDT後の各スフェロイド表層部にアネキシンV,プロピディウムヨード陽性を示す細胞が全体に分布していた. 結語  単層培養細胞,スフェロイドを用いた蛍光顕微鏡,組織学的評価より神経膠腫細胞に対するPDT後急性期の抗腫瘍効果としてネクローシスの関与が示唆された.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.29.369