生物学的排水処理に出現する微小動物に及ぼす重金属の影響

活性汚泥法および生物膜法などの微生物の働きを利用した排水の生物処理は、細菌、菌類、原生動物および微小後生動物などの多種の微生物から構成される混合培養系からなる。これらの微生物に影響を及ぼし、浄化機能に影響を与える因子としてpH、水温、攪拌強度、溶存酸素濃度および毒物濃度があげられる。毒性のある物質の中でも、特に重金属は生物分解されにくいため生物に与える影響は大きいとされている。本研究ではこれらの点を踏まえ、混合培養系の生物処理過程で重要な役割を果たしている微小動物に着目し、特に生活排水中に含まれる重金属が微小動物の増殖にいかなる影響を及ぼすかを明らかにすることを目的として検討を行った。その結果...

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Published in日本水処理生物学会誌 Vol. 41; no. 4; pp. 171 - 180
Main Authors 清水, 康利, 稲森, 悠平, 鈴木, 理恵, 須藤, 隆一, 蛯江, 美孝
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水処理生物学会 2005
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ISSN0910-6758
1881-0438
DOI10.2521/jswtb.41.171

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Summary:活性汚泥法および生物膜法などの微生物の働きを利用した排水の生物処理は、細菌、菌類、原生動物および微小後生動物などの多種の微生物から構成される混合培養系からなる。これらの微生物に影響を及ぼし、浄化機能に影響を与える因子としてpH、水温、攪拌強度、溶存酸素濃度および毒物濃度があげられる。毒性のある物質の中でも、特に重金属は生物分解されにくいため生物に与える影響は大きいとされている。本研究ではこれらの点を踏まえ、混合培養系の生物処理過程で重要な役割を果たしている微小動物に着目し、特に生活排水中に含まれる重金属が微小動物の増殖にいかなる影響を及ぼすかを明らかにすることを目的として検討を行った。その結果、微小動物の増殖に対する阻害濃度は広範囲であったが、毒性の強い方から概ねクロム、銅、亜鉛、アルミニウム (pH未調整)、マンガン、鉄 (pH未調整) の順であった。また、生活排水を処理している接触ばっ気法による家庭用浄化槽の接触材に付着した生物膜の重金属濃度および生物相を定量的に測定した結果、汚泥中の重金属濃度は低く、微小動物の生存に影響が認められない濃度であった。
ISSN:0910-6758
1881-0438
DOI:10.2521/jswtb.41.171