成人で発見された前縦隔神経芽腫の1切除例

症例は65歳,男性.他疾患経過観察中の胸腹部CTで前縦隔腫瘤を指摘され,当科紹介となった.胸部CTでは前縦隔に35 mm大の充実性病変を認め,心膜との境界が不明瞭であった.胸腺腫あるいは胸腺癌を疑い,手術の方針とした.右アプローチでの完全鏡視下に前縦隔腫瘍摘出および胸腺摘出と,心膜合併切除および心膜再建を行った.病理所見は小型から中型の大小不同の核をもつ腫瘍細胞が充実胞巣状に増殖し,腫瘍内は線維性隔壁と壊死巣と石灰化像の散在を認めた.神経系免疫染色(synaptophysin,chromogranin A)に陽性を示し,さらにCD56陽性を示し神経芽腫と診断された.成人発見での神経芽腫は極めて...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 5; pp. 654 - 658
Main Authors 岩井, 俊, 船崎, 愛可, 関村, 敦, 浦本, 秀隆, 薄田, 勝男, 本野, 望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.654

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Summary:症例は65歳,男性.他疾患経過観察中の胸腹部CTで前縦隔腫瘤を指摘され,当科紹介となった.胸部CTでは前縦隔に35 mm大の充実性病変を認め,心膜との境界が不明瞭であった.胸腺腫あるいは胸腺癌を疑い,手術の方針とした.右アプローチでの完全鏡視下に前縦隔腫瘍摘出および胸腺摘出と,心膜合併切除および心膜再建を行った.病理所見は小型から中型の大小不同の核をもつ腫瘍細胞が充実胞巣状に増殖し,腫瘍内は線維性隔壁と壊死巣と石灰化像の散在を認めた.神経系免疫染色(synaptophysin,chromogranin A)に陽性を示し,さらにCD56陽性を示し神経芽腫と診断された.成人発見での神経芽腫は極めて稀であり,確立された治療ガイドラインがない状況である.現在までの報告例と合わせて診断および治療に関して報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.654