微小貧毛類の大量培養

本研究では、長時間ばっ気法における活性汚泥法および生物膜にしばしば大量に出現する微小貧毛類を二者培養下で培養し、最適培養条件を見出すための実験的検討を行った。増殖に対する最適水温はAeolosoma hemprichiで33℃、Nais sp.で30℃、Pristina sp.で25℃であること、増殖に対する適正塩濃度の上限は、リン酸緩衝液濃度としてA. hemprichiで1/375M、Nais sp.で1/375M、Pristina sp.で1/150M、Dero sp.で1/7, 500Mであり、pHについてはすべての微小貧毛類においてpH5.6~8.2の間で増殖の低下は認められなかった...

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Published in日本水処理生物学会誌 Vol. 41; no. 3; pp. 121 - 128
Main Authors 清水, 康利, 稲森, 悠平, 鈴木, 理恵, 須藤, 隆一, 蛯江, 美孝
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水処理生物学会 2005
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ISSN0910-6758
1881-0438
DOI10.2521/jswtb.41.121

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Summary:本研究では、長時間ばっ気法における活性汚泥法および生物膜にしばしば大量に出現する微小貧毛類を二者培養下で培養し、最適培養条件を見出すための実験的検討を行った。増殖に対する最適水温はAeolosoma hemprichiで33℃、Nais sp.で30℃、Pristina sp.で25℃であること、増殖に対する適正塩濃度の上限は、リン酸緩衝液濃度としてA. hemprichiで1/375M、Nais sp.で1/375M、Pristina sp.で1/150M、Dero sp.で1/7, 500Mであり、pHについてはすべての微小貧毛類においてpH5.6~8.2の間で増殖の低下は認められなかった。攪拌強度については、A. hemprichiの方がNais sp.に比べて耐性を有していたこと、有機物濃度はCOD500mg/lまで増殖は低下せず、培養する場合にはそれほど大きな影響因子とはならないこと、さらに特定の細菌群および汚泥成分の存在により増殖が上昇し、特にA. hemprichiでは細菌相、Nais sp.等では細菌相と汚泥成分が増殖を支配する大きな因子であり、すべての微小貧毛類において40,000mg/lという高い汚泥濃度条件下で増殖できることが明らかになった。これらの成果は排水処理施設で微小貧毛類を優占的に増殖させるための基礎的知見となるといえる。
ISSN:0910-6758
1881-0438
DOI:10.2521/jswtb.41.121