移乗介助動作における教育介入が関節角度・筋活動に及ぼす影響
本研究の目的は,移乗介助動作に関する教育介入が,介助者の下肢・体幹の関節角度や筋活動に及ぼす影響について検討することである.13名の女性被験者(教育介入を実施する介入群:理学療法学科8名,対照群:作業療法学科5名)を対象とした.12回の授業(講義と実技)で構成される教育介入前後において,身長170cm体重55kgの男子学生を被介助者とし,椅子から椅子への単独での全介助による移乗介助動作を1往復行った.左右の上腕二頭筋・僧帽筋・脊柱起立筋・大腿直筋の筋活動を表面筋電図にて,股・膝関節ならびに体幹の屈曲角度を3次元動作解析装置にて評価した.介入群において,膝屈曲角度が介入後有意な増加を示した.股関...
Saved in:
Published in | 労働安全衛生研究 Vol. 1; no. 1; pp. 47 - 52 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
2008
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1882-6822 1883-678X |
DOI | 10.2486/josh.1.47 |
Cover
Summary: | 本研究の目的は,移乗介助動作に関する教育介入が,介助者の下肢・体幹の関節角度や筋活動に及ぼす影響について検討することである.13名の女性被験者(教育介入を実施する介入群:理学療法学科8名,対照群:作業療法学科5名)を対象とした.12回の授業(講義と実技)で構成される教育介入前後において,身長170cm体重55kgの男子学生を被介助者とし,椅子から椅子への単独での全介助による移乗介助動作を1往復行った.左右の上腕二頭筋・僧帽筋・脊柱起立筋・大腿直筋の筋活動を表面筋電図にて,股・膝関節ならびに体幹の屈曲角度を3次元動作解析装置にて評価した.介入群において,膝屈曲角度が介入後有意な増加を示した.股関節・体幹屈曲角度には有意な変化は認められなかったが,介入群では対照群に比べ股関節屈曲角度は大きく,体幹屈曲角度は小さかった.これより教育介入によって,指導として強調された squat lifting 法へ近づく姿勢となったことが示唆された.しかし,筋活動においては,介入群の右大腿直筋のみ有意な増加を示したが,その他の筋は有意な変化は見られなかった.今回の結果から,教育介入により被験者の腰部への負担軽減を明確に示すには至らなかったが,介入群は股・膝関節をより屈曲させて移乗介助動作を行う姿勢を示すようになり,教育効果の可能性が示唆されたといえる.すなわち,教育介入の意義についてさらに検討を深め,教育方法の質的・量的充実を図ることが必要と考えられた. |
---|---|
ISSN: | 1882-6822 1883-678X |
DOI: | 10.2486/josh.1.47 |